出会ったのは雛鳥
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「ご、ごめんなしゃい」
突然謝る魔女っ娘。だが噛み噛みである。なんなのこの子、俺を犯罪者にしてしまおうという性悪少女の罠なの? とっつきでハート撃ち抜いてくるんですけど。
思考がさらに暴走し始める前にまともな言葉を口に出そう。
「君が謝ることはないよ。それなら俺も」
「いえ放置してしまったのはさすがに」
「いやすまなかった。ほんとに――」
すると彼女は急に口に手をあてて上品に笑った。
「ふふっ。あっ、すみません。でも許したのに謝ってばかりなので少し可笑しくて。……あなたはいい人ですね。」
天使がいた。俺はただ茫然とその芸術的な一ページに見惚れるしかなかった。
この気持ち! まさしく愛だ!
どこかの武士道さんが俺の頭の中で叫んだ気がした。
「……? どうかしましたか?」
「いや、君の笑った顔があまりに可愛くて見惚れちまってた」
正直に白状すると魔女っ娘は俯いてしまった。しまったまた怒らせちまったか。
「あ、あまり人前でそういうのは……」
おずおずと口を開いたがどうやらドン引きしてるっぽい。ぶっちゃけすぎたな、自重しよう。ここは話の流れを変えるべきか?
「そういえば名乗るのが遅れて申し訳ない。俺は姓は徐、名は晃、字は公明という。気ままな旅人だよ」
うん。自分の名前なのに違和感しかないがまともに自己紹介出来たはず。
「わ、私は姓は鳳、名は統、字は士元と申します。水鏡塾の塾生をしていましゅ。あわわ、噛んじゃった」
なん……だと……?
開いた口が塞がらないとはこのことか。
鳳統がこんな……謎の杖使ってぐるんぐるん回る鳳統がこんな見た目幼女だっただと!? 三国志マニアが聞いたら卒倒しちまうんじゃないかな。
「……あの噂に名高い鳳雛に出会えるとは」
「あわわ、私なんかまだまだでし。朱里ちゃんのほうがすごいですし」
目の前の余りに異常で違和感しかない歴史上の人物に、どうにか胸中を悟られないように誤魔化すと聞いたこともない名前が飛び出したが、この世界には真名という概念があった事を思い出す。
鳳統よりすごい水鏡塾の人ってもしかしてあれか。何人もの髭のナイスミドルを地の底に叩き込んだあいつか。つまりこのハニートラップは性悪少女の罠じゃなく孔明の罠だったのか。おのれ孔明。ってかちゃん付けってことはまさかもしかしなくても女の子なのか。
「あ、友達のことなんですけどしゅごいんです!朱里ちゃんは私より成績がよくて目標が高くて先生も悩むことを思いついたり、あとは――」
よっぽどその子のことが好きなのか興奮気味に話し続ける。キマシタワーが立てられそうだ。
しばらく頷いたり、相槌を打ったりして長々と彼女の親友の凄い所を聞いて、言葉が途切れた所に自身の思った事を挟み込む。
「鳳統ちゃんはその子のことが
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