三幕 惜別のベアウルフ
4幕
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い気がした。
頑是ないフェイをどうすればソウから引き離せるか。考えていると、エルが出てきてフェイの前にひょこっとしゃがみ込み、ぺち、とフェイのおでこを可愛く――もとい小さく叩いた。
「そんなこと言っちゃだめでしょ。食べるのも寝るのも、エルは大事だって知ってるよ」
エルはふわりと、大人びた笑みをフェイに向ける。
「ルドガーのごはん、おいしいんだよ。マーボカレーがね、エル用に甘くしてくれるの。ベッドはちょっとカタイけど、ルルといっしょに寝ればあったかいし、寒くないようにルドガーがふわふわの毛布買ってくれたからきもちいいよ。だからフェイも、食べるのも寝るのもなくていいなんて、言っちゃダメなんだからね」
そんなことまでしたのですか、とローエンに視線で問われた。ルドガーは口を覆ってあらぬ方向を仰いだ。何かがはずかしかったのだ。
「でも、それは、エルのためのものでしょう?」
そこでルドガーもフェイの前にしゃがんだ。
「フェイが食べたいならフェイの分も作るよ。住んでるとこ近所だし、いつでも……って言っても留守にしがちだけど、遊びに来たくなったら来ていいから。泊まってってもいい。エルもそのほうが喜ぶし」
「だし!」
「ナァ〜」
「わたしの、ために? わたしのための、もの?」
信じられない、と前髪の隙間から覗く赤い目は訴える。
そんな温かいものを今までに知らなかった、と言うように。
そんな優しさを与えられたことはなかった、と語るように。
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