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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第203話】
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―嫁は嫁だ、それ以上でもそれ以下でもない」
まるで威風堂々とした佇まい、そして口から出る言葉の冷たさと嫁という事実を認めたくないのか――。
「ぼ、僕としては他のメニューも見たいわけでさ……。 そ、それに……嫁というのが……その……」
「……なんだ?」
恐ろしい程の冷たい視線で見下ろされたナンパ男は、流石にこれ以上聞けないと思ったようで、コーヒーに関して言い始めた。
「き、君と彼の関係の事はもうわかったよ。 ――で、でも、コーヒーにしても僕はモカとかキリマンジャロとかをオーダー――」
目が笑っていないラウラは、その男を見下ろしながら表情に嘲笑を浮かべた。
「はっ。 貴様らの様な安い舌を持つ凡夫に、コーヒーの豆の違いがわかる……とでも?」
「ラウラ、言い過ぎだぞ?」
そう俺が言うと、ラウラは表情を崩し、いつもの俺に向ける表情で――。
「し、しかしヒルト……私は嫁に対する態度が……」
「俺なら大丈夫さ、慣れっこって奴だよ。 ……御主人様方、そういう訳ですので、そのコーヒーをお飲みになられた彼方で会計を済ませられては如何でしょうか……?」
そう俺が可能な限り優しく接すると、さっきのラウラの言葉に萎縮しながら小さく――。
「……はぃ……」
「ではごゆっくりおくつろぎください。 ……ラウラ、戻るぞ?」
「ぅ、ぅむ……」
そんな感じで俺とラウラはテーブルから離れると、ラウラの冷淡で人を寄せ付けない態度と、今俺に見せてる少女の様な表情とのギャップが凄まじいのか、男性客も女性客も、あの子凄く可愛いという声が耳に届いた。
「有坂君、ゴミ出しお願い出来るかな?」
「あ、はい。 了解しました――んしょっ――」
店長に言われて奥にあるゴミを外に出そうと手に持つと――。
「ヒルト、少しいいか?」
「ん? 接客に戻らなくてもいいのか?」
「す、少しだけだ。 ――さ、さっきは間に入ってくれて……あ、ありがとう……。 わ、私だけでも対処は出来たが……その、だな……。 よ、よめが助けてくれたことが、私には凄く嬉しくて……」
そう顔を赤くし、メイド服のスカートの裾をきゅっと握っていた。
「気にするなって。 ……なんだかんだであまり役に立たなかったがな、俺」
「……ぅぅん。 ……私には、ヒルトが気にかけてくれたことが嬉しい……。 ……だからこそ、ヒルトには私の……その……可愛い所を……もっと……見て……くれ」
最後は消えそうな程のか細い声で言ったラウラ。
その瞳は気恥ずかしさからか少し潤んで見えた。
「……ふふっ、ちゃんと見てるから心配するな
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