恋のキューピット
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えるたび締め付けられる胸。あのナイアーラトテップと戦っている彼の姿を思い出すたびに、彼女の全身は熱くなり、頭がボーッとしてしまうのだ。
クトゥグアと戦うことになった時は、気が狂いそうになった。止めてと、何度も叫びたかった。カンピオーネとなったばかりで、裏の世界も知らなかった一般人の少年が、こうも連続で神々と戦うなんて有り得ないと。【聖魔王】様たちがいるのだから、任せればいい、と。
いつの間にか彼女は、彼と共にいたいと、そう考えるようになってしまった。義務感ではなく、罪悪感でもなく・・・ただ、自分の幸福のために。
「エリカ・ブランデッリは、貴方の騎士として共にある。生きる時も死ぬときも。幸せなときも苦しい時も。貴方とそれを共有していきたい。・・・・・・これは、その誓いよ。」
まるで、結婚時の誓いの言葉。・・・いや、エリカは、まさしくそういうつもりでこの言葉を使ったのだ。
彼がこの先、どういう道を歩くのかはわからない。カンピオーネとなったからには、波乱の人生が待ち受けているだろう。
しかし、彼女は決めたのだ。
「・・・・・・好きよ、護堂。」
口づけ。触れるだけのキス・・・に、なるはずだった。
「ま・・・てぇ!!!」
「キャア!?」
エリカが握り締めていた手のひらが、彼女の体を押しとどめる。もう一方の手で、顔に巻かれた包帯をむしり取る護堂。
「お、落ち着けエリカ!本当に落ち着け!!!」
「ご・・・どう・・・!?」
エリカは驚愕する。それは、彼が突然起きたから・・・なのもあるが、彼の顔に傷一つついていなかったからだ。
「嘘・・・重傷なんじゃ・・・?」
何故、この状態の護堂の顔に包帯が必要だったのか?それは・・・
「落ち着くんだエリカ!このままじゃ彼女たちの思うツボだぞ!」
現状を認識できていないエリカに、再度叫ぶ護堂。その挙動から察するに、顔だけではなく体も、大きな怪我はなさそうだった。
「鈴蘭さん・・・ちょっと話があるんですがねぇ・・・!」
そんなエリカを放ったらかしにして、剣呑な雰囲気を滲ませる護堂。その声には、明らかに怒気が混ざっていた。
「・・・むぅ・・・失敗しちゃったかぁ・・・。」
その言葉に反応して部屋に入ってきたのは、鈴蘭・・・だけではなく、この船の覆面、メイド従業員(【伊織魔殺商会】の構成員たち)。リップルラップル、カッコとドクターといった、幹部連中。・・・更に、一部では【白き巫女姫】とすら呼ばれているアリス・ルイーズ・オブ・ナヴァールであった。
ゾロゾロと部屋に入ってくるそいつらの手には・・・例外なくビデオカメラが握られていた。
「もう!ドクター。あと少しだったのに、どうしてここで効果が消える
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