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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編「オーバー・スペック 後編」
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未知の領域である。軽い気持ちで聞いた恋愛談だったが思わぬカミングアウトに興味津々な楯無はそれで?と先を促す。
「そいつが槍使いでさ。俺が槍を使い始めたのもそいつに槍の腕で勝ちたかったからなのさ」
「わお、今のあなたからは全然想像がつかないわね・・・何て言うか、男の子してるって感じ?」
「実際あの頃はガキだったしな。そんで対抗心燃やして何度かそいつに勝負しかけたよ」
2度目はジョウの勝利、しかし3度目で引き分けて4度目で再び敗北。1勝2敗1引き分けとなったそうだ。そのどれも僅差だったらしいが、楯無にその言葉の真偽を確かめる術はない。ただ、その女の子の話をする瞬間だけジョウの目は子供のように輝いていた。それだけ夢中になったのだろう。
・・・少しだけその子に女として負けが気がして、ちくりと心のどこかが痛んだ。女の子と話をするときに他の女の子の事を語りだすのはマナー違反と言いたいが、別に特別親しい間柄でなければ問題は無いものだろう。この理解に苦しむ感情に、楯無は取り敢えずペルソナで蓋をすることにした。
「あんだけ一人の人間の事ばかり考えるのは初めてだったな・・・何だか良く分からんが、こいつは世界でたった一人の俺のライバルだって確信してた。実際にはそいつにゃ俺とは別にライバルがいたんだけどな」
「片思いだったってこと?甘酸っぱいわねぇ・・・」
「はっはっはっ!アイツのライバルが男ならここで青春メロドラマでも始まるんだろうが、相手は生憎女の子でね?しかも結局会う機会がないと来たもんだ。人生ってのはとことん間が悪いねぇ・・・」
心底おかしそうに語るジョウは、今度は何故か10年以上前に起きた青春の1ページを語る大人の男性のように成熟して見えた。それだけその思い出が大事であることを否応なしに感じ取れる。
それと同時に疑惑も浮上する。ジョウを負かす程の実力者ならば必然的に有名になるはずである。何せ彼の戦闘能力は町で知らない者が居ないほどに名を轟かせていたのだから。そのことを指摘すると、ジョウは困った顔をして後頭部をポリポリと掻いた。
「あー・・・何て言うかな。そいつ、随分遠いところに引っ越しちまってそれっきりなんだよ。今どこにいるかは知らねえのさ」
「意外ね。負け越してるんだから『俺との勝負から逃げるのか!?』とか言いそうなのに、アナタ」
そこまで言って、楯無ははっと気が付いた。
彼には、他の事にかかずらって居られないほどに余裕が無かった時期が存在する。それは――母親が事故死した時期だ。その頃のジョウは寝ても覚めてもユウの近くに付きっきりで、ユウの方も大切な家族を喪ったことで家族に依存していたと報告にあった。
その時期にライバルとやらが引っ越したのならば、その行方など詮無きことであったに違いない。自分の思慮の浅さに軽く頭
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