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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編「オーバー・スペック 後編」
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ぁぁあああ・・・・・・簪ちゃんの気持ちがちょっとだけ分かったわ」
ジョウは天才を自称している。つまり楯無は才能の差でジョウに負けたという事。楯無は今の今まで一日たりとも現在の地位に甘んじて努力や鍛錬を怠ったことなどない。そして楯無が知る限り上の鍛錬量と自身の鍛錬量はほぼ同じ。にも拘らず、才能という見えない差が圧倒的な実力差を作り出していた。
昔、自分に追いつこうとする簪に楯無は「そこまで必死にならなくとも」と内心考えていたが、今ではその時の簪の気持ちが手に取るように分かった。
自分が一歩階段を上るうちに相手は二段上る。こちらが頑張って一段飛ばしをしてやっと同じ成長で、それも体力のせいで長くは続かない。そして自分が息を整えている間に空いてはさらに先に――と、簪にとってはこんな感じの悪夢だったのだろう。
これはやっていられない。悪い夢だからと諦めなければ開いた差を延々と見せつけられる羽目になるなど、まともな精神ではやっていられない。
はあ、と再び溜息をつきながら着替える楯無はふと、ジョウの弟であるユウの事を思い浮かべた。
彼は幼い頃からあの化物染みた才能の塊と一緒に過ごしてきた。比べられて嫌な思いをしたことだってあるだろう。本格的に兄に追いつこうと努力を始めたのは中学辺りからだったと前に読んだ報告書にあった筈だ。
彼は、その果てしなく開き続ける差を自覚したうえで、今でも兄と笑い合いながらその背を追い続けているのか。その絶望的と言える才能の差に・・・明らかに自分と簪のそれよりも大きく開いた差に「いつか必ず追い付く」という自意識のみで挑む少年。
その意思の強さは、間違いなく超人と呼ぶに相応しいだろう。
世界最強を守れるほど強くなると言い切る一夏にしてもそうだ。女尊男卑の風潮など初めからなかったかのように、世界という途方もなく大きなステージの頂点に立とうともがく彼もまた、精神的超人と言えるだろう。
才能の差、力の差にぶつかったのは何も自分ばかりではない。年下の男の子たちがへこたれずに頑張っているのに、年上の自分が先にダウンするのは余りにも情けないし・・・何よりも「簪が追いかける楯無」が弱音を吐いて不貞腐れるようなつまらない人間であってはならない。
「ふふっ・・・男の子って皆あんなに逞しいのかしら?オネーサンも負けてられないかも♪」
何となく、千冬が一夏を・・・そしてジョウがユウを絶対的に信頼している理由を垣間見た気がした。
結局のところ、それは楯無が簪に抱くそれときっと同じものだから。
楯無は、楯無だけは知っているのだ。あの子が見た目からは想像もつかないほど”強い”子だと。
= =
「おい、ユウはお前の婿にはやらんぞ?」
「いきなり何言ってんのアナタ・・・」
「と
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