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木の葉詰め合わせ
本編番外編
日常番外
人と獣の奇妙な関係
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「この間さぁ、扉間――弟と二人で月見酒と洒落込んで一升瓶を空けたんだけどね」

 朗らかな声が山間に響き渡る。 
 何処かで小鳥がさえずり、木々が風にそよいでは若葉の歌を奏でる、そんな心地よい一日。

「次の日痛む頭を押さえながら目を覚ましてみれば――なんとビックリ。目の前にね、全く覚えの無い忍術の理論を書いた巻物があったわけ」
『…………』
「いやー、あれは驚いたね。オレも弟も身に覚えが無いんだもの。それで慌てて二人して中身を確認してみたらさ……」

 開けた草原には、長い黒髪を風に靡かせながら少々行儀悪く胡座をかいて座る人影と、その人影を遥かに越す大きさの獣の姿があった。

 時折、その黒い鼻先が動きはしているものの獣は固く目を瞑って、まるで眠っている様だった。
 それでもその正面で座っている人は気にする事無く言葉を紡ぐ。

「――ね、知りたい? どんな忍術であったか」
『……勝手にしろ』

 素直じゃない返事に人は愉快そうに笑う。
 波間に揺れる海藻の様に気まぐれに漂う朱金の尻尾がゆらり、と揺れた。

「まだ理論段階なんだけどね、死んだ人間の一定量のDNAを用意して、人の生け贄を捧げて死者を復活させる――その名も『穢土転生』とか言うまず間違いなく人道と倫理に反する術でした!」

 いやー、お酒って怖いよね。
 気が付いたらそんなおっかない術をノリで開発しちゃうんだもの。

 そう言ってけらけらと笑う人を、獣が固く閉ざされた瞼を開いて胡乱な眼差しで見つめる。

『お前が考える様な術とは思えんな』
「うん……。酔った時のノリと勢いだけはオレ達は誰にも負けないみたいだね……。――すぐに禁術指定にして、黒歴史って事で廃棄処分にする方針で決まったもの」

 顔を僅かに暗くして、それでも敢えて明るい声で人が返事する。
 それに不機嫌そうに獣は鼻先に皺を寄せた。

「そうそう、それからね。なんか最近めっぽう強い忍びが出て来たんだよ。うちは一族の若頭領なんだけど。まだオレの方が強いけど、ぼやっとしてたらその内追いつかれそうで怖い怖い」
『ほう……』

 相槌を返した獣の朱金色の毛皮が、山間の向こうから覗いた斜光に照らされ、その色を濃い物とする。
 その様を間近で眺めて、人影はうっとりと表情を緩ませた。

「それにしても、九喇嘛の毛皮って本当に綺麗だな。こうして夕日に照らされると、ますます神秘的で……そうだな、犯し難い聖域を目にしている様な気がするよ。静かで、どこまでも透明なんだ」
『……ふん』

 獣と人との他愛も無い話。
 世の人々が目にすれば信じられないと断言するだろう。

 ――けれども。

 どこまでも気心が知れた者同士の当たり障りの無い会話を交わす当の本人達にしてみ
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