暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
勝てない理由と偽りの竜
[7/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
はその鋭い爪を―――――振り下ろす。

「何が、何が勝てない理由があるだ!正規ギルドの魔導士がっ・・・たかだか雑魚ギルドの魔導士が!このボクに・・・マスター直属部隊のボクに偉そうに・・・!消えろ!消えろ消えろ消えろォ!ボクの前から・・・消え失せろオオオオオオオ!」

ジェメリィが叫ぶ度に、ドラゴンはその鋭い爪を振り下ろしていく。

「「「ティア!」」」

グレイとハッピー、シモンが叫ぶが、その声にティアが答える事はなかった。

「ハハハッ・・・ハハハハハハハハハハハハッ!」

怒り狂った欲望は、誰にも止められない。
その場には、ジェメリィの勝利の高笑いだけが響き渡っていたのだった。











―――――――――その瞬間、世界が、割れた。











「・・・え?」

高笑いが途絶え、ジェメリィはゆっくりと辺りを見回す。
気がつけば、割れたはずの壁やヒビが入ったはずの床も綺麗に元に戻っている。

「割れた・・・?」
「どうなってんだ?」
「何が起こったんだ・・・?」

突然の出来事に、グレイ達も困惑する。
すると、そこに軽やかなソプラノボイスが響いてきた。









「どうかしら?神秘的な海の見る夢は」









『!?』

聞こえてきた声の方を全員が向くと、そこには無傷のティアが佇んでいた。

「ティア!」
「無事だったか!」
「よかったぁ!」

無傷のティアを見てシモン、グレイ、ハッピーは安堵の声を出す。
それとは対照的に、ジェメリィは焦ったような声を出す。

「ウソだ・・・ウソだウソだっ!だって、君はボクが仕留めて・・・っ!」

焦りと同様、2つの混じった声に、ティアは淡々と告げる。

「簡単な事よ。アンタはずっと、海の夢の中にいた」
「夢・・・?」

言葉の意味が解らず、首を傾げるジェメリィ。

「そう。私が最初に使った魔法『海域』は・・・相手に幻覚を見せる魔法よ」
「!?」

その言葉を聞いて、ジェメリィは更に驚愕する。
幻覚使いが幻覚に気づかない・・・これ以上の屈辱はないだろう。
警察官が犯罪に気づかない様なのと同じものだ。

「つーか、俺達も幻覚にかかってたのかよ」
「全く気がつかなかったな・・・」
「あい」

いつの間にか自分達も幻覚に引っかかっていた事に、グレイ達も愕然とする。

「ま・・・まだだっ!幻覚がどうだろうが、ここで君を倒せばいいだけだっ!」

叫び、新たな幻術を発動させるジェメリィ。
しかし、ティアは淡々と、今度は『現実』を突き付ける。

「無駄よ」

その言葉が合図だったかのように
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ