勝てない理由と偽りの竜
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「幻術剣舞!」
ジェメリィはオレンジ色の剣を造り出し、一斉にティアへ向けて放つ。
「大海屈折」
対するティアは向かってくる剣に怖気づく事なく、右掌を向ける。
剣達がティアの右手の魔法陣にぶつかり、その剣はくるりと進路を変えた。
「はね返し!?」
剣をはね返された事に動揺し、実体化を解く事を忘れてしまう。
その結果・・・
「がああああああああっ!」
自分自身の攻撃で、ダメージを受けてしまった。
「す・・・凄い・・・俺の情報なんかより、はるかに強い・・・」
「へっ・・・さすがギルド最強の女問題児ってか」
「海の閃光の異名は伊達じゃないね!」
相手に1度も攻撃を当てさせないティアにシモンは驚愕の声を、グレイとハッピーは感嘆の声を上げる。
「ク・・・クソッ!」
「諦めなさい。アンタでは私には勝てない」
「何だって・・・?」
「勝てない理由が2つあるわ」
傷つき膝をつくジェメリィに、ティアは感情を込めずに言い放つ。
「理由、だって・・・?」
「そう。それを知らない限り、アンタは勝てない」
その余裕たっぷりの言葉に。
その氷のように冷たい瞳に。
その崩れる事のない表情に。
「・・・ふ、ざけるなアアアアアアアアアアアアアッ!」
ジェメリィは、激怒した。
その叫びと同時に、彼女の周りに無数の幻術が現れる。
狼、虎、大猿、ライオン、鋭い牙をもつ魚・・・その種類は様々だ。
「・・・戦場において、冷静な判断が出来ない人間は敵じゃない」
が、無数の幻術を見ても、ティアは全く動じない。
その言葉が、ジェメリィの怒りに更に火を点ける。
「舐めるな・・・血塗れの欲望マスター直属部隊を・・・舐めるなアアアアアアアアアッ!」
魔力が溢れる。
幻術は次々に増えていき、遂には空間全てを覆い尽くした。
そしてその幻術は、徐々に1つに集まっていく。
「な、何だ、アレは・・・」
「ドラ・・・ゴン?」
ハッピーが呟く。
鋭い爪に太い尻尾、大きな翼、オレンジ色に艶めく鱗。
そこにいるのは、まさしく――――――
「究極幻術・・・ドラゴン!」
――――――ドラゴンだった。
「でかーーーーーーっ!」
あまりの大きさに、ハッピーが叫ぶ。
今ここにいるメンバーの中で、本物のドラゴンを見た事があるのはまだ気を失ってるナツだけだ。
だが、本などに載っている絵で少しの姿は知っている為、一目でドラゴンだと解る。
「消えろ・・・ドラゴンの前に・・・消えろオオオオオオオオオオッ!」
ジェメリィの怒号。
それに反応し、ドラゴン
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ