勝てない理由と偽りの竜
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幻術弾丸!」
ジェメリィが放ったのは、空間を覆い尽くすような数のオレンジ色に光る銃弾だった。
が、数多くの魔導士の相手をしてきたティアが特に慌てる事はない。
「大海竜巻」
両手の人差し指と中指を立て、その指をクロスさせる。
その仕草と同時に魔法陣が展開し、鐘の音が鳴り響く。
青い魔法陣から水の竜巻が放たれ、銃弾全てを巻き込み、姿を消した。
「大した事ないのね」
「チッ・・・さすがは海の閃光・・・だったらこれでどう!?」
次にジェメリィが繰り出したのは・・・グレイ。
「なっ!」
「俺!?」
突然の事にティアも目を見開き、グレイも驚愕する。
その両手は造形魔法の構えを取っており、無言のまま、その両手がティアに向けられた。
「っ・・・!」
グレイの両手から放たれた氷の槍を綺麗に避け、続いて放たれた氷のハンマーはサマーソルトキックで砕く。
「標的確認」
まるで機械のように短く言葉を発し、グレイに回し蹴りを決める。
すると、グレイは顔を歪め・・・
「!?」
ボフッと。
煙のように、その姿を消した。
が、すぐに形を取り戻し、煙はグレイに成っていく。
「攻撃が効いてないだと!?」
「煙に物理攻撃を加えても煙は出続けるよね?それと同じだよ!」
つまり、幻術グレイが攻撃を仕掛けたらティアに当たるが、ティアの攻撃は幻術グレイに効かない、という事だ。
「そう・・・ならば・・・」
それを理解したティアは・・・戦闘態勢を解除した。
「っオイ!オメェ、何考えてやがんだ!?」
「まさか、攻撃を喰らおうと・・・!?」
グレイとシモンが驚愕する。
「あっれー?諦めちゃった?じゃあ・・・死んでもらおっかな!」
それを「降参」と見たジェメリィは、幻術グレイを操り、向かわせる。
「・・・」
向かってくる幻術グレイを見ても全く動かないティア。
そして造形された氷の刃がティアに直撃するかと思われた、その時・・・
「大海霧幻・眠」
ティアの体から霧が発せられ、その瞬間幻術グレイは糸の切れた操り人形のように倒れ込んだ。
「えっ!?」
それを見て驚愕するジェメリィ。
「どうして!?何で幻術が動かせないんだ!?君、一体何を・・・!」
「さっきの魔法を見ていなかったの?ただ強力な眠りの魔法をかけただけよ。普通なら効かないんだけど、実体を持つ幻術なら話は別よ」
「・・・チッ!なら!」
どれだけの魔法を使ってもポーカーフェイスを崩さず、全く動じず淡々と続けるティアに毒づきながら、ジェメリィは再び魔法陣を展開させる。
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