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Element Magic Trinity
勝てない理由と偽りの竜
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「お前・・・え!?」

声の主・・・ティアを見たハッピーが驚き、シモンが壁の中にいるティアを見て、自分達の前に立つティアを見る。

「言ったでしょ?目の前にいるのが本物だと、ここにいる誰が確認したの?」

つまりは、壁の中にいるのは偽物で、本物はとっくに天井近くに隠れていたのだ。

「アンタは見たところ幻術魔法(ミラージュマジック)の使い手ね。それも、かなりの実力者」
「君は元素魔法(エレメントマジック)大海(アクエリアス)かぁ。珍しい魔法使うんだね!」

ジェメリィは無邪気に、ティアはポーカーフェイスのままお互いの魔法を認識し合う。

「ま・・・結局のところ、敵なのに変わりはないのよね。さぁ、アンタはどこの所属か言いなさい」
「んー、解ったよ。そういう約束だもんね。君は元々壁の外にいたけどさ」

ティアの鋭い目にも臆せず、ジェメリィはにっこり笑って言い放つ。
自分の所属するギルドの名を。













「ボクは闇ギルド、血塗れの欲望(ブラッティデザイア)・ギルドマスター直属部隊、暗黒の蝶(ダークネスファルファーラ)の1人、双子宮のジェメリィだよ!」













「――――――――っ!」

血塗れの欲望(ブラッティデザイア)
その名を聞いた瞬間―――ティアの表情が一気に崩れた。
あの崩れる事が滅多にないポーカーフェイスが、たった一言で見事に崩れる。

「アンタ達が・・・血塗れの欲望(ブラッティデザイア)・・・」
「あれ?ボク達って結構有名?照れるなぁ!アハハ!」

ジェメリィが笑い出した瞬間、その顔を掠めるように圧縮された水が走り去った。
水は壁に激突し、綺麗なヒビを入れる。

「・・・なぁるほど。君、個人的にボク達の事憎んでたりする?」
「黙りなさい」

全てのモノを凍てつかせるような冷たい声で、ティアが言い放つ。

「悪いけど、こっちも忙しいの。最初から本気で行くわよ」
「ふーん・・・解った!双子宮のジェメリィが、最高の幻術を見せてあげる!」

空気がピリピリと張り詰める。
まず最初に動き出したのは、ティアだった。
魔法陣を床と天井に展開させ、呟く。

「・・・海域」

その呟きと同時に、ジェメリィの足元に水の波紋が広がる。

「この程度・・・通用しないよっ!」

それに対してジェメリィは一瞬で大きな猿の幻術を生み出し、指を鳴らす。
その瞬間、大猿は実体化し、波紋を防いだ。

「!」
「実体化した!」
「僕の魔法、幻術魔法(ミラージュマジック)は、時と場合によって実体化も可能なんだよ?」

大猿の幻術を消したと同時に、反撃に出るジェメリィ。


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