勝てない理由と偽りの竜
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ジの狼が無数に姿を現した。
「!?」
その狼たちは壁を綺麗にすり抜け、ティア達を襲う。
驚愕で目を見開きながらも、ギリギリのところでそれを避けた。
「へへっ!どぉ?その壁もボクの魔法なんだけど、中から魔法は通さないんだ!逆に外からの魔法は通すんだよ!だから、君達はボクに攻撃できないってワケ!凄いよね!」
つまり、ティア達は魔法を封じられている。
が、相手は魔法を使える、という事だ。
「卑怯だぞ!テメェ!」
「そうだそうだー!」
「卑怯?なぁにそれ。『闇ギルド』に卑怯も何もないんだよ?」
「闇ギルド!?お前は髑髏会の人間じゃ・・・!」
そう。
暗殺ギルドならば『暗殺ギルド』とか三羽鴉と名乗ってもおかしくはない。むしろ、そっちの方がしっくりくる。
が、目の前の少女『ジェメリィ』は『闇ギルド』ときっぱり言った。
「髑髏会?そんなギルドと一緒にしないでよ。ボク達はさぁ、そんな端くれギルドなんかより凄いんだよ?」
困ったように肩を竦め、笑う。
「・・・言いなさい。アンタはどこ所属の魔導士?」
「んー・・・じゃあ、君がそこから出てこれたら教えてあげるよ♪」
彼女はティアの怖さを知らないのだろう。
ティアは答えをはぐらかされる事が嫌いなのだ。
「まぁ・・・出てくる前に、死んじゃうだろうけどね」
ジェメリィがそう呟いた瞬間―――彼女の周りに再び狼の群れが現れる。
先ほどの倍ほどの数の狼のオレンジ色の目が、全てティア達に向けられた。
「くっ・・・!」
「ど、どうすんだティア・・・」
「どうもこうも、魔法を使えないんじゃどうしようもないわよ」
シモンが顔を歪め、グレイとティアが小声で会話をする。
「それじゃ、会ったばかりだけど・・・永遠にサヨナラ」
その言葉が合図だったのか、否か。
狼たちは一斉にティア達に向かっていった。
目の前には軽く30は超えるであろう狼の群れ。魔法は使えないし、グレイは全身に火傷を、ハッピーも同じく火傷を、シモンも怪我を負っている。
絶体絶命とはまさにこの事。その場にいた全員は冷や汗を浮かべ、覚悟を決めた表情を浮かべる。
―――――――が、深海色の閃光は、そこまでバカじゃない。
「大海針雨・狙撃!」
小さいがよく通る声が響き、30を超える狼全てに水の針が突き刺さる。
「な、何!?一体何が・・・!」
「戦闘に置いて目の前にいる人間が本物とは限らない。五感を使い魔法を使い、相手を見極めよ」
その声の主は、軽やかという言葉が似合うステップで天井近くから飛び降りてくる。
「ティア!?
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