第二十六話 〜夜に舞う喋 前編【暁 Ver】
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ブの膠も無い言葉に肩を竦める。
『ところで、桐生。君に聞きたいことがあるんだが』
「なんですか? 改まって」
『最近、夜遅い時間に出かけることがあるが……どこへ行ってるんだい?』
「あぁ……えぇとですね。あるユーザーのところへ。仕事ですよ」
『……あんな遅い時間にかい』
「えぇ、管理局の職員の方なんですが……遅い時間帯の方が都合がいいそうです。……何か?」
『いや……桐生。アスナが悲しむようなことだけはしないで欲しい』
「何を言うのかと思えば……杞憂ですよ。私がそんなことをするわけがありません」
『なら、いいんだ。すまない』
何処と無く気まずい空気が流れ、それきり二人は押し黙る。
──── ちり
桐生の指に挟んだ煙草から灰が──── ほろりと堕ちた。
なのはさんとフェイトさんにしこたま怒られたアホ娘は、反省したかのように大人しく振舞っていた。だが、あたしやスバルから見れば導火線が燻っている爆竹にしか見えず、いつ破裂するか戦々恐々とした時間を過ごしていたが、それはある日突然やってきたのだ。八神部隊長から呼出を喰らったあたし達が、部隊長室へと出頭した時から始まった────…
「なに、これ」
スバルが現場映像を見ながら声を絞り出す。部隊長室には、当然のことながら八神部隊長。そして、ギンガさんがいた。二人の説明を要約すれば、クラナガンで起こった殺人事件の捜査協力。……どう考えても六課の管轄ではないし、況してや108部隊は密輸品の捜査を主としていた筈だ。そんなあたしの心情を察したのか八神部隊長が、口を開く。
「ティアナの言いたいことは、わかる。せやけどなぁ、ギンガが一人でやる言うとって……そんな真似はさせられへん。頑固なところは姉妹そっくりや」
八神部隊長は困ったように息を吐いた。ギンガさんは、苦笑いをしている。つられるようにして、あたしも溜息を零した。仕方、ないか。何より、スバルが止まらないだろう。だとしたら、あたしがやらないわけにはいかない。アスナは……アスナ?
「……おなじが」
おなじが? ……あぁ、同じ蛾か。
「同じ種類なの?」
あたしに問われたアスナは少しだけ肩を揺らした。聞かれていたとは思っていなかったらしい。
「……そう」
そして、アスナの呟きを聴きとったのは、あたしだけではないようだった。
「よくわかったわね……あぁ、アスナは虫が好きだったっけ。そう、二人の口に入れられている蛾は同じ種類だったわ。何でかは、わからないけど」
ギンガさんの言う通り理由はわからない。だけど意味はあるんだ、きっと。あたしの脳裏にあの事件の光景がフラッシュ
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