第二十六話 〜夜に舞う喋 前編【暁 Ver】
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ないらしい。説明する為に言葉を舌に乗せようとしたが、あまりの馬鹿馬鹿しさに頭痛がした。だが、我等が部隊長殿が経緯を御所望だ、説明しなければいけないだろう。
サプライズとテンプレな模擬戦を終えたあたし達は、車座になりながら暫しの休憩をとっていた。汗は掻いているし、皆一様に仕事を終えた会社員のような表情をしている。アスナは相変わらず訓練場の端で夜の静寂のように口を噤んだまま、海の彼方に浮かぶ蜃気楼を見ていた。その後ろ姿に少しだけ違和感を感じながらも声をかけようとした時、スバルの微笑ましげな声があたしを止めた。
「どうしたの?」
「うん、あそこ」
スバルの指先の方向へ顔を向けてみると……小動物のような足取りで一人の少女がこちらへ向かって来ている。傍らにはザフィーラが少女を守るように歩を進めていた。ヴィヴィオだった。
ヴィヴィオは随分と明るくなった。よく笑うようになったし、忙しいなのはさんの代わりにアスナと一緒に遊んでいるのをよく見かける。アスナの妙なところに影響されないか心配ではあるけれど、今のところその兆候はみられない。
ヴィヴィオは、シャーリーさん達と言葉を交わすと、こちらへ走り寄ってきた。だが──── 草原に足を取られたのだろう。漫画に出てくるようなコミカルなコケっぷりを見せたヴィヴィオは、見事に芝生と口づけを交わした。
慌てて駆け寄ろうとしたフェイトさんを、なのはさんが止めた。どうも、自分で起き上がってみろと言う事らしい。フェイトさんは、少々不満な様子だ。なのはさんが芝生へ膝をつきながら、ぴくりとも動かないヴィヴィオへと声をかける。……ぴくりとも……動かない?
「ヴィヴィオっ」
なのはさんとフェイトさんが血相を変えて、ヴィヴィオへ走り寄る。なのはさんが縋りつくようにヴィヴィオを抱きかかえると何度も、何度も。名前を呼んだ。自分でも嫌になるほど冷静だったあたしが、シャマル先生を呼ぶか、それとも運んだ方がいいか思案していると、なのはさんの呼びかけに何の反応もしなかったヴィヴィオが唐突に目を開けた。驚く二人と、あたし達。
「わぁ。なのはママも、フェイトママも騙されたぁ」
ヴィヴィオは、なのはさんの腕の中でケラケラと無邪気に笑っていた。呆気にとられていたあたし達だったが、フェイトさんが優しい笑顔を浮かべながらヴィヴィオへと問いかけた。
「ねえ、ヴィヴィオ? この悪戯はヴィヴィオが考えたの?」
敢えて問わなくても、ここにいる人間は全員理解してしまっている。これは、只の確認であり言質を取る為だ。問われたヴィヴィオは楽しそうな笑顔のまま、予想通りの名を告げた。
「うぅん。アスナおねぇちゃん」
アスナの影響はないとの言葉は、訂
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