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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
第13次海鳴防衛戦
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げたくない時があるんです」
「そして女にも黙って送り出さなきゃいけない時があるのよすずか。ほら、こっち来なさい」
「・・・・・・こんなとき、苗ちゃんなら引き止められるのかな・・・」
「引き止めないでしょうね。若しくは嬉々として参加するかも」
後ろから手を引いたアリサに為されるがまま引き戻されるすずか。なんだかんだで親友、なのはのことも心配で心配で仕方ないのだ。でも優しいからこそ、なのはと僕を天秤にかける事は出来ない。俯いた顔からもう一人の友達、苗ちゃんの名が出たが、その仮定も意味のないものだ。
とはいえ実はさっきから立ってるだけでちょっと辛いんですが・・・見栄っ張りの辛いところだ。
≪少年。転身の術を使うといい。体が弱っていても鎧ならば、意識と魔力があれば問題なく使える≫
『わかった。転身の術!』
すぅぅ・・・と足元に光る魔法陣から雷のようにまばゆい光を発してあの漆黒の巨体、鎧分身が現れる。
右手にエタルドを持った分身は僕を左手で抱え込み目的地まで歩みを進め始めた。分身のコントロールはゼルギウスさんも補助をしてくれているためか僕が自分で動かすよりもなめらかな気がする。お父さんに抱えられるってこんな感じなのかな。そこはかとなく別世界な視点だ。
「ありがとう、お父さん・・・」
≪・・・少年?≫
『あ、ごめんなさい。なんだかゼルギウスさんに抱えられてる気がして・・・つい』
≪お父さん・・・お父さんか。士郎殿に目をつけられたくはないから口には出さないでもらいたいな≫
『やだって言わないんだ・・・やさしいね』
つい開いた口を慌てて塞ぎ、念話に切り替えた。顔から火が出るほど恥ずかしい。学校の先生をお母さんって呼んでしまったくらいの恥ずかしさに僕は体を縮めて顔を伏せた。
「今、お父さんって言ったわよね・・・?」
「・・・やっぱり、クロエ君は子しっこくだったんだ!」
「・・・え?ち、ちょっと待って!それじゃ親しっこくの中の人って士郎さんなの!?」
「え・・・ど、どうだろう。それは考えてなかったなぁ・・・」
その頃、言い逃れようのないほどに親しっこくだった鎧に掛けた一言があらぬ波乱を呼んでいたことをクロエはぜーんぜん1ミクロンたりとも知らない。
ひょっとしたら”本当のお父さん”なのかもしれないと考えはしたが口には出さなかったすずかであった。めくるめーく誤解ランナウェイ。
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