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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
第13次封神計画
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かなどと呑気なことを考えていた。
(本人たちは気付いていないが、それは正思念集合奔流にして現世の事象の糸に触れる”無限力”のことである。考えなしに近づいたら対消滅の可能性もあったのだが、彼女たちは割とグレーな存在なので大丈夫だったりする)
が、蓋を開けてみれば何故かユーリだけが別の場所に顕現してしまったようで大慌て。とはいえ直ぐにユーリが少しずつこちらに近づいているのを感知し皆で迎えに行くこととなったのだが、その最中に冒頭の血の匂いに話が戻る。
もしも
無辜
(
むこ
)
の民が犠牲になっているのならばあまりいい気はしない。が、臭いはそれほど強くないから人のものではない、若しくは事故による出血なのかもしれない。それを気付いておいて放っておくのも気が引ける。
よってディアーチェは血の臭いの大元を見極め、必要あらば処置を施す役をシュテルに命じたのだった。なお、シュテルが選ばれた理由は王が直接赴く程ではないが、レヴィに行かせたら色々不安だという妥当なんだか違うんだかよく分からない事情からである。
前置きが長くなってしまったが、とにかくシュテルは件の血の発生源にあっさり辿り着いた。
そこには砂浜に座り込んだ血まみれの少女と絶命した一匹の大きな猫が、時が止まってしまったかのように動かず鎮座していた。
少女の側頭部には治り掛けの大きな傷があった。彼女の体に付着する血液の半分ほどはそこから出たものだろう。並の人間ならば意識を失い最悪死亡するであろう傷が自然治癒している所を見るに”まとも”な人間ではないようだ。
彼女の身体に付着する残り半分の血液は、彼女の横で凄惨な断面を晒している猫が死亡した際の返り血であろう。この2つの出血こそが血の臭いの大本だろうとシュテルは断定した。
「この猫は?」
「・・・・・・・・・」
「・・・大切な猫だったのですね」
「・・・」
こくり、と首肯した少女はしかし、言葉を一言も発しなかった。
シュテルは彼女の顔を覗き込み、少しばかり驚く。
虚脱。喪失。亡失。そのどれともはっきりつかない、存在としてまだ幼いシュテルには判別の付けられない、鬱屈のようなものが積み重なって動けなくなってしまったような眼であった。ふと彼女の手を見ると、爪が皮膚に食いこんで血が滲んでいる。それは彼女の心の何かを抑圧した結果なのだろう、とシュテルは推測する。
何か言葉をかけるべきなのだろうか。しかし、何と声をかければいいのか分からない。ひどくもどかしいが、何も言わずにその場を去ることはしたくなかった。これは、自分の感情だろうか?それとも自分の素体となった”あの世界の”高町なのはの感情だろうか?彼女の今の姿を「痛々しい」と感じたシュテルは、その自分とそれほど外見年齢の変わらない少女の傍を離れなかった。
「・・・ね
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