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戦国異伝
第百四十六話 闇の仕掛けその五
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 彼等は穏やかにその畑や田を見て笑顔で話していた。
「今日もいい感じじゃな」
「そうじゃな」
 こう笑顔で話すのだ。そこ本願寺の僧侶達も来る、見れば彼等もまたにこやかなものだ。
 彼等は子供達が寄ってくると笑顔で自分達から声をかけた。
「さて、何をして遊ぶ?」
「鬼ごっこか?」
「うん、鬼ごっこしよう」
「それで遊ぼう」
 子供達も笑顔でこ言って応える、そしてだった。
 彼等は田畑のあぜ道で楽しく遊ぶ、親達もそれを見てさらに明るい顔になる、そのうえでこうそれぞれ話すのだった。
「織田家もよい家じゃな」
「うむ、右大臣殿も話がわかるのう」
「本願寺には何も言ってこぬ」
「我等にも何もせぬ」
 荘園を廃し檀家でいくように行っているがそれでも民百姓には一切手を出さない、信長のこれまで通りの政だ。
 それを行っているだけだがそれは一向宗の門徒達にとってよいものだった。それで彼等も安心しきっていたのだ。
 それはこの日もだった、畑仕事の後は家に帰り飯を食い風呂に入り休むつもりだった、だがここにだった。
 不意に青い具足の足軽達が来た、最初に彼等に気付いたのは僧侶達だった。
「おっ、織田家の足軽じゃな」
「そうじゃな」
 彼等はその青い具足を見て言う。
「ふむ、長島の寺に用かのう」
「では一体何の用件じゃ」
「前の矢銭の礼か?」
「いや、それなら前に平手殿が来られたぞ」
 こうした時に礼を言うのも忘れないのも織田家だ、それはもう来ていた。
 だから彼等が来たことにいぶかしむのだった、そして。
 彼等の手を見るとだ、そこには。
「鉄砲じゃな」
「うむ、織田家も多く持っておるがな」
「では狩りか?」
「鹿でも狩るつもりか?」
 今度はこう考えた、だが。
 その彼等が鉄砲を構えそのうえでだ、撃ってきたのだ。
 忽ち百姓のうち何人かが倒れた、それでだった。
 僧侶達も仰天した、慌てて周りに叫ぶ。
「た、大変じゃぞ!」
「織田家が鉄砲を撃ってきたわ!」
「織田家が戦を仕掛けてきたぞ!」
「皆長島の寺まで逃げよ!」
 こう周りに声をかける、そして一人が。
 鉄砲の音に呆然となる子供達を見て慌てて声をかけたのだった。
「御主達はこっちじゃ!早く来るのじゃ!」
「!?お坊様どうしたの!?」
「何があったの!?」
「鉄砲の音だよね、あれ!」
「おっとうとおっかあ達が!」
「御主達は逃げよ!こっちじゃ!」 
 彼等の手を握って慌ただしく長島の寺まで向かう、その他の僧達もまた。
 百姓達に慌てて声をかける、武器を持っていない彼等に。
「早く寺まで逃げよ!」
「急げ!急ぐのじゃ!」
「わ、わかりました!」
「それでは」
「寺に人をやれ!」
 織田家は彼等が必死に百姓達を逃がそうとする
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