TURN109 モスクワ攻防戦その十
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「ロシア平原まで撤退です」
「そしてあの場所で」
「再び戦いを挑みましょう、まだスノー将軍とニガヨモギがあります」
「では今は」
「後詰は私が務めます」
ジューコフは自らその役を名乗り出た。
「書記長を御願いします」
「わかりました、では書記長は私がモスクワからお連れします」
「その様に御願いします」
こうしてだった、ソビエト軍は敗北を認め撤退に入った。
ゲーペは撤退の間にロシア兄妹と共にカテーリンの部屋に向かった、そのうえでカテーリンと彼女と共にいるゲーペに言った。
「同志書記長、残念ですが」
「ここはもうね」
「嘘よ、モスクワで負けるなんて有り得ないわ」
カテーリンもテレビで戦局を見ていた、そのうえで眉を顰めさせて言うのだ。
「こんなことがあるなんて」
「ですがこの通りです」
「負けたよ」
ゲーペとロシアはそのカテーリンに言う。
「ですからここはです」
「ジューコフさんが防いでくれているうちにね」
「撤退しましょう」
二人だけでなくロシア妹も言う。
「ロシア平原まで撤退しましょう」
「そこでもう一度戦おう」
二人は再びカテーリンにモスクワからの脱出を勧める、それでだった。
ミーリャもカテーリンに横からこう言ったのだった。
「カテーリンちゃん、ここはもうね」
「モスクワから逃げるの?」
「今はね。そうするしかないよ」
「けれど人民の皆が頑張ってるのよ」
カテーリンは眉を顰めさせたままミーリャにも言う。
「だから私だけ逃げるのはよくないわ」
「私も一緒だから、確かに皆が頑張ってるけれど」
「それでもなの?」
「ジューコフ元帥はカテーリンちゃんに逃げてもらう為に頑張ってるのよ」
言うのは彼のことだった。
「元帥の気持ちを無駄にしたらよくないよ」
「だからなの」
「そう、今はね」
一時モスクワから去ろうというのだ。
「それでまた戻ってこよう」
「そうするしかないの」
「捕まらなかったらまた戦えるよ」
ミーリャはカテーリンにこの正論も話した。
「だからここはモスクワから撤退しよう」
「じゃあ何処に撤退するの?あそこ?」
カテーリンはある場所を示した。
「あそこに逃げるの?」
「今はロシア平原でいいかと」
ゲーペがそのカテーリンに話す。
「次の決戦の場所で」
「そうなの、あそこじゃないの」
「あの場所に行くのは最後の最後でいいと思うよ」
ロシアは穏やかな微笑みでカテーリンに話した。
「今はね」
「うん、それじゃあね」
カテーリンもロシアの言葉に頷いた、そうしてだった。
モスクワから脱出した、そのうえでロシア平原まで撤退した。その彼女の撤退の報告を受けてだった。
ジューコフは後詰として残っている将兵達にこう言った。
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