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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
鬼vs鬼
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ハハッハハハハハッハハハッハハハハハハハハッハハハハハ──────────ッッ!!!!!!!』

耳障りな哄笑が、耳朶を震わせる。

しかし、それに相対する一人の《鬼》は静かに眼を瞑っていた。

やがて、確認するように一度頷き、口許から声が漏れた。

『────そぉか、わぁったわぁった。もう止めはしねぇよ』

それは、キリトも、カグラも、ユイも、狂楽でさえ、その言葉の意味は解らなかった。

だが、マイだけは血相を変えて叫んだ。

「ダメ!出てきちゃダメッ!!」

その言葉に、狂怒は一切の反応を返さない。しかしマイには分かった。

人の魂に干渉するという禁断のシステム、《ブレインバースト・システム》を司る彼女だからこそ、分かりえた。

紅衣の少年の身体の中で、何かが切り替わったような感覚。

スイッチを入れたような、そんな感覚。



瞬間。



ザアアァッッッッッッッッ!!!!!!

と。

身体に掛かっていた一切の外的要因を、その場にいた者達は認識できなくなった。

その原因は────気配。

殺気や注意ではない。ただそこに存在しているだけで、人々の心を、精神を磨り減らしていく。

そんな存在感。

もしそれらのものが自分達へ向けられるかと思うと、どこか心の奥にあるナニカが音を立ててブチ切れそうな恐怖。

全員がその場に思わず棒立ちになっても、一人の純白の少女は叫ぶ。

血の滲むような叫びを、叫ぶ。

「ダメ、ダメだよッ!レン!!そんなことしちゃ、()()()()()()()()()()()ッッッ!!!!」

その叫び声に答えるかのように、レンの体に変化が起きた。

身体を包んでいた全装備がドプンと融けたように粘液状になり、それらが全身をくまなく覆い尽くしていく。そして、それらの一部が寄せ集まり、先端が槍のように尖ったモノを創り出した。

《尾》が、生えた。

人間として、本来ありえない部位。ゆらり、と揺れるその鋭利な先端に言い知れぬ恐怖感を掻き立たせられる。

こんな光景をどこかで見たことがある、とカグラはぼんやりと思考した。

そうだ。

あの鋼鉄の魔城、その最上階で彼はこのようなことを引き起こしたではないか。

だが、あの時あんな禍々しい《尾》が生えていたか?

その時、だまって事の成り行きを見ながら微動だにしなかった狂楽が始めて声を発し、カグラの思考を断ち切った。しかしその声も、どこか強張った口を無理やり動かしているように掠れていた。

『………アハハハハァ、まさか《融合》するとはねぇ。人間より上位の存在にまでなってまで、僕を殺したいかァッ??』
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