暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
鬼vs鬼
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なっていく。

『ならこれぁどぉだぁッッ!!?』

狂熱に突き動かされるように、一人の《鬼》は両手を伸ばした。ビリビリ、と高周波の衝撃が空間を震わせ、時間軸すら乱れさせる。

閃光が迸ったのは、変わらず上空から。

『甘いねぇ!!』

操り人形を動かすように、狂楽の指が不気味な軌道を描きつつ蠢いた。途端に、重傷の痛みなどほとんど感じていないようにぼんやりと突っ立っていた剣士の目が、毒々しい黄色い眼光を放つ。

霞むほどの速度で黒衣を纏う身体が加速し、少女の前に己が肢体をさらした。

『まだまだぁああッ!!』

同時。

左手を、野球のサイドスローのように振りかぶる。その延直線状に発現したのは、これまでよりもさらに大きなブラックホール。

『なっ!!』

『だぁれが一度に二発撃てねぇなんて言ったかなァ!!!??』

キリトの神装の属性を使った防御行動の弱点は、それを行う者が一人しかいないという事だ。耐久力無限の盾でも、それは所詮、一方通行のもの。二方向からの同時攻撃は防ぎきれない。

『消し……飛ばせぇっっッッ!!!!』

叫び、咆哮し、絶叫し、限界まで溜め込まれたエネルギー全てを解き放とうとした時────

『ざぁ〜んねん。やっぱりツメが甘いねぇ』

毒々しい言葉が放たれるとほぼ同時、いきなり目線が一気に下がった。

とうとうガタが膝まできたか、と咄嗟に思ったが、そうではなかった。鳥籠の底、たった今《鬼》達が立っている床が、いきなり液体になったかのように脚を呑み込んだのだ。

ドプン、と粘性の高い、濃い色の液体が身体を包んだように感じられた。

いや、そうではない。

呼吸はできるが、しかし空気が異常に重たくなったのだ。

身体を動かそうとすると、ねっとりとした粘液の中にいるような、凄まじい抵抗を感じる。

身体が重い。

磨り減らされた精神と身体のあちこちが堪りかねたように苦痛を上げる。

世界から、光が遠ざかっていく。

あれほど降り注いでいた紅い夕陽が、滲むように現れた深き闇にみるみる覆い尽くされていく。

隅にいる純白の少女と、それを護るように膝を折る巫女装束の女性が、いきなりのことに悲鳴を上げる。その声も、まるで深い海底で発せられたかのようなエコーがかかっている。

そうこうするうちに、世界は全くの暗闇に閉じ込められてしまった。いや、その言葉には少し語弊がある。

白いワンピース姿の《鬼》、黒いゴシック調のワンピースを着るマイと巫女装束のカグラ、その少し上を浮遊するユイの姿さえもはっきりと、明瞭に視認することができる。だが、視界のバックグラウンド全てが濃密な黒に塗り潰されてしまっているのだ。

放出させようとしていたエネルギー全てが強
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