暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
鬼vs鬼
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アスナの身体を乗っ取る狂楽の座標、その上にピンポイントで滝のような光線が降り注いだ。しゅあっ!という音とともに、純白の中に栗色の長髪を持つ少女の姿が掻き消えた。

声を上げる間もなかった。

いや、声を上げようとする前に、上げるノドその物が溶けているのだ。

皮膚が火傷し、炭化するとかの次元ではない。

肉塊全てを光が一瞬で舐め尽くし、骨格全てを閃光が蒸発させた。

光は、数十秒間もの間、一人の少女を────一人の《鬼》を()()()()()

しゅうしゅう、と辺りには形容しがたい臭気が漂い始める。

それは、タンパク質が蒸発した時のみ発せられる、普通に生存していれば絶対に嗅ぐことなどないもの。

ご、げぁ………ッッ!

咳き込むような、吐き出すような音が響いた。

しかしそれは、光の奔流に呑み込まれた少女のものではなかった。その上、折り重なるように、覆い被さるように少女を護った────

黒衣の剣士から漏れたものだった。

少年のトレードマークでもある漆黒のレザーコートは大本から跡形もなく焼き払われ、柔和だった顔のほとんどは炭化し、その奥には頭蓋骨と思われる白っぽい物が見え隠れしている。

胴体のあちこちからは、冗談みたいな量の血液が噴水のように噴出していて、その血液さえも、数千度に熱せられた大気が次々に蒸発させていく。

しかし、それらの生命に関わる肉体の損傷は、付けられる瞬間から治っていく。いや、直っていくというほうが正しいのか。

まるで時間を巻き戻すかのように、炭化して黒くなった皮膚の上には真新しい皮膚が現れ、千切れた血管は引き合わせたようにそれぞれの断面図を寄せ集める。

全ては、その剣士の胸に刺さった一本の片手直剣によって引き起こされたものだった。

白く輝く、エネルギーその物でできたような剣。

それを一瞥し、狂怒は地の底から響いてくるかのような唸り声を発する。

『………神装《潔白(オートクレール)》。属性ぁ……強烈な癒しか。カッカ、吐き気がする』

『アッハッハァ!ホントにねぇ。でもぉ、これで兄様の心意技に対する盾が手に入ったよぉ』

『ハッ!随分と薄ぃ盾じゃねぇか?』

『わかってないなぁ!素体となるそのガキが弱ってたら、いくら兄様でもそのレベルの心意技なんて連発できるわきゃぁないでしょ』

チッ!と狂怒という《鬼》が舌打ちをした。

確かに先程から手足の痺れ、脳裏を這い回る鈍痛が目立つ。さらに先程の心意技を撃った後、明らかに身体に掛かる加重が増大した。

それは確実に、このコロシアイに確固たるタイムリミットが存在することを如実に証明していた。

そう思っている間にも、脚はどんどん鉛のように重く
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