黙って城の中にいると思いきや
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
全く反応していない。
そう、ピクリとも動かない。
しかも三人ともだ。
何度か餌が食われているのでは?、と思い引き戻しても餌は食われた痕すらない。
周瑜は孫策の反応を無視して、ぼ〜っと糸を見ている。
「もうすぐ食いつくから。」
「それ。
さっき聞いた。」
「あははは・・・・」
苦笑いを浮かべる事しかできない。
「もういい!
釣りは二人に任せて、私は木の実とか探してくる!」
「えっ!?
ちょっ!」
俺が何かを言う前に、孫策は竿を置いてどこかへ行ってしまう。
追い駆けるかどうか、迷っている時に周瑜が言う。
「放っておけ。
すぐに戻ってくるさ。」
「でも、大丈夫なのか?」
「この森は孫堅様と何度か来ている。
だから、迷う事はないだろう。」
と、周瑜が呑気にそんなこと言っていると糸がピクン、と反応した。
「「おっ。」」
次の瞬間には竿が曲がり、引っ張られる。
周瑜は力いっぱい引き上げると、20センチくらいの魚が釣れた。
「ようやく一匹目だな。」
「だな。
おっ、俺の方も来たみたいだ。」
俺の竿にも反応があり、引っ張ってみると周瑜より少し大きめの魚が釣れる。
その後はさっきまでの静けさが嘘のようだった。
バンバン、魚は釣れていき、気がつけば10匹くらい釣れていた。
「これ、食い切れるか?」
「何とかなるだろう。」
魚はもういいので、竿を治し、火の準備をする。
周瑜は魚に木の棒を突き刺し、俺は火の準備をする。
師匠とよく野宿はするので、火の起こし方は分かっていた。
「しかし、孫策遅いな。」
俺は木の板に木の棒を刺してくるくると回して、摩擦熱を起こしながら帰りの遅い孫策の心配をする。
気になっていたのか周瑜も俺の言葉に同意する。
「確かに遅いな。」
その時だった。
「冥琳、関忠!
ちょっと来てみなさいよ!!」
と、森の奥から孫策の声が聞こえた。
俺達は手を止めて、声のする方に向かう。
少し歩くと、孫策の後ろ姿が見えた。
「雪蓮、何をやって・・・・」
周瑜は何かを言おうとしたが、言葉が続かなかった。
後から来た俺は何があったの確認すると、俺も言葉が出なかった。
孫策の前には大きな熊がいた。
大きな熊の前に、孫策は脅えるどころか、こちらを見て手を振っている。
「ねぇねぇ、大きいでしょう!
さっき木の実を採っている時に見つけたの!」
笑顔でこちらに振り向きながら、呑気にそう言う。
心なしか、熊から荒々しい息が聞こえる。
「なぁ、周瑜。」
とりあえず、俺は周瑜に話しかける。
もちろん、左手には木刀を掴み、視線は熊から注意を逸らさずに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ