第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
[4/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
齎すことになる。
「本局、ですか」
「うん」
呼出に応じて部隊長室へ来てみれば、本局への同行を命じられた。行くのは構わないが、理由がわからない。しかも、アスナと一緒だ。こんな触ったら弾けてしまう変な植物みたいな娘を連れて行くのか。
「実はな? クロノ・ハラオウン提督と会うんや。ロッサ……ヴェロッサ・アコース査察官もおる。クロノ君は、『クラウディア』の艦長さんにして執務官の資格持ちや。ティアナも執務官を目指しとるんなら参考になる話も聞けると思うし、偉い人に会う経験も積んどったほうが、ええやろ。どうかな」
なるほど。確かフェイトさんのお兄さんだったか。二十五歳という若さにして提督という階級もさることながら、XV級艦船『クラウディア』の艦長。考えてみれば、とんでもないエリートだ。……考えるまでもない。八神部隊長の言う事は尤もだし、あたしにデメリットはない。
「ありがとうございます。喜んで同行させて頂きます。ですが……この娘は?」
あたしは、そう言って。隣で先程から興味なさげにつっ立っているアスナのぼんやり顔を見つめた。
「うん、アスナちゃんはな。クロノ君が一度、会うてみたい言うとるんよ」
「なんでまた」
あたしは眉間に出来ているであろう皺を揉みほぐす。あれだろうか。動物園にやってきた凄い珍しい動物を一目見てみたいという感じなのだろうか。
「……お気持ちはありがたいですが、私にはすきなひとが」
「ちゃうわ。なに言うてんや、この娘。……あんな、私がアスナちゃんの事をカリムに話す。カリムが面白がって、クロノ君に話す。クロノ君が釣れる。OK?」
「わかりました。悪いのは八神部隊長だと言う事が」
「なんでや。まぁ、そう言う事や。だから、アスナちゃんも来て。かっこええで? クラウディア」
「……宇宙戦艦ヤマトと、どっちがかっこいい?」
宇宙……なに? 以前から思っていたが、アスナはお兄さんから仕入れた無駄知識が多すぎる。
「……どっこいやな」
「……じゃ、いく」
こうしてあたし達は、蓋が常時半開きのびっくり箱を抱えて本局へと赴くことに相成った。しかも中身がわからないと来た。何か失礼なことをしでかしたら、全て八神部隊長の責任にしようとランスターの名に誓った。
「八神さんも、随分と思い切ったことをしますね」
『正直なことを言えば、アスナにはあまり深く関わって欲くはない。だが』
「六課にいる以上、無理な話ですよ。……管理局員ですからね。こういった場合もあるでしょう」
桐生の声色は普段と変わりは無かった。彼が言うように以前から予期していたのだろう。
『ところで……桐生は先程から何をしているんだい?
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ