暁 〜小説投稿サイト〜
空を駆ける姫御子
第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
[12/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
りいい気分はしない。尤も、あたし達も似たような手を使って彼を監視してはいるが。

 アスナの纏う空気が霧散していく。どうやら悪気はなかったと言うことは理解したらしい。アスナはアコース査察官の整った顔を見つめると、薄く笑った。……初対面の人間に対して珍しい。

「……どこのおにいちゃんも、心配性ですね」

 アコース査察官は虚を疲れたように幾度か瞬きしたかと思うと、やがて子供のように笑った。

「なんや、楽しそうやな。私も混ぜてぇな。珍しいなぁ、ロッサともう仲良うなったんか」

「……このにーちゃんは、いいひとです」

 アスナの言葉を聞いた八神部隊長は難しい顔をする。あぁ、いつもの()()だ。

「それは……どうやろ。人は見かけによらん言うしな」

「どうしてそんなことを言うんだい? 折角、丸く収まったのに。……アスナちゃん、まず拳を下ろそうか」

 アコース査察官に頼まれるまでもなく、六課にいる人間はこんな感じなのだ。アスナを六課へ勧誘する際に、八神部隊長がお兄さんへ語った言葉は、きっと。嘘ではないだろうから。何せ、あたし達を家族だと言う人なのだから。





「……マ、マ?」

「うん。ヴィヴィオの本当のママが見つかるまで。わたしが保護責任者で、フェイトちゃんが後見人。えぇっと、うん。二人共ヴィヴィオのママ。……どうかな」

 ヴィヴィオは、その小さな手と腕を精一杯に伸ばし。縋りつくように。温もりを求めるように。高町なのはへ抱きつくと、声を上げて泣いた。それは、不自然かつ歪な関係なのかも知れない。だが、少なくとも。スバルの目に映った二人の姿は──── 母と、娘だった。





「やっぱ、そうかい」

「はい……いずれも、最新技術で作られた戦闘機人であると思われます」

「六課と情報の擦り合わせをする必要があるな……二人共頼まれてくれるかい?」

「了解しました」

 白衣の女性が部隊長室から退出する。男は同じように退出しようとしていたもう一人の女性へと、声を掛けた。その音色には幾分、悪戯気な雰囲気が漂っている。

「ギンガ。あんまり喧嘩ふっかけるんじゃねぇぞ?」

「違いますっ、勝負です、勝負」

 女性──── ギンガ・ナカジマは、いかにも心外だと言わんばかりに反論した。男はやれやれとばかりに苦笑する。

「まぁ、どっちでもいいけどよ。程々にな。アスナ坊は元気だったかい」

「相変わらず変でした」

「……そうかい、何よりだ」

 男──── スバルとギンガの父親でもあり、陸上警備隊第108部隊の部隊長を務めるゲンヤ・ナカジマは、ギンガが退出するのを見届けると嘆息する。気怠げに椅子へ身を沈めると、年齢を感じさせる真白な髪が僅か
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ