第二十五話 〜Mother&Children or Family【暁 Ver】
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りいい気分はしない。尤も、あたし達も似たような手を使って彼を監視してはいるが。
アスナの纏う空気が霧散していく。どうやら悪気はなかったと言うことは理解したらしい。アスナはアコース査察官の整った顔を見つめると、薄く笑った。……初対面の人間に対して珍しい。
「……どこのおにいちゃんも、心配性ですね」
アコース査察官は虚を疲れたように幾度か瞬きしたかと思うと、やがて子供のように笑った。
「なんや、楽しそうやな。私も混ぜてぇな。珍しいなぁ、ロッサともう仲良うなったんか」
「……このにーちゃんは、いいひとです」
アスナの言葉を聞いた八神部隊長は難しい顔をする。あぁ、いつものアレだ。
「それは……どうやろ。人は見かけによらん言うしな」
「どうしてそんなことを言うんだい? 折角、丸く収まったのに。……アスナちゃん、まず拳を下ろそうか」
アコース査察官に頼まれるまでもなく、六課にいる人間はこんな感じなのだ。アスナを六課へ勧誘する際に、八神部隊長がお兄さんへ語った言葉は、きっと。嘘ではないだろうから。何せ、あたし達を家族だと言う人なのだから。
「……マ、マ?」
「うん。ヴィヴィオの本当のママが見つかるまで。わたしが保護責任者で、フェイトちゃんが後見人。えぇっと、うん。二人共ヴィヴィオのママ。……どうかな」
ヴィヴィオは、その小さな手と腕を精一杯に伸ばし。縋りつくように。温もりを求めるように。高町なのはへ抱きつくと、声を上げて泣いた。それは、不自然かつ歪な関係なのかも知れない。だが、少なくとも。スバルの目に映った二人の姿は──── 母と、娘だった。
「やっぱ、そうかい」
「はい……いずれも、最新技術で作られた戦闘機人であると思われます」
「六課と情報の擦り合わせをする必要があるな……二人共頼まれてくれるかい?」
「了解しました」
白衣の女性が部隊長室から退出する。男は同じように退出しようとしていたもう一人の女性へと、声を掛けた。その音色には幾分、悪戯気な雰囲気が漂っている。
「ギンガ。あんまり喧嘩ふっかけるんじゃねぇぞ?」
「違いますっ、勝負です、勝負」
女性──── ギンガ・ナカジマは、いかにも心外だと言わんばかりに反論した。男はやれやれとばかりに苦笑する。
「まぁ、どっちでもいいけどよ。程々にな。アスナ坊は元気だったかい」
「相変わらず変でした」
「……そうかい、何よりだ」
男──── スバルとギンガの父親でもあり、陸上警備隊第108部隊の部隊長を務めるゲンヤ・ナカジマは、ギンガが退出するのを見届けると嘆息する。気怠げに椅子へ身を沈めると、年齢を感じさせる真白な髪が僅か
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