心の鎧
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」
彼女は純粋だ。
何処までも、何時までも、曲がる事なく純粋だ。
―――――自分の信念が曲がる事が無いと信じているから、彼女は永遠に純粋で。
「ここにいるのは氷の造形魔導士、空を飛ぶ猫、闇の魔法を使う魔導士。そして――――炎の敵である、水の魔導士」
指が鳴る。
それと同時に天井近くに展開する、青く高度な魔法陣。
魔法陣は徐々に大きくなって、心地よい鐘の音を響かせる。
「ああ・・・言っておくけど、私はこの場にいる―――この塔にいる誰の事も信じていないし、信頼もしていないし、仲間だとなんて思っていないわ」
彼女が信じているのは己。
それ以外の人間は、たとえ双子の弟であるクロスや異母兄弟の兄であるクロノさえも信じない。
「さっきアンタはグレイに言った・・・『貴様も火竜の仲間なら、この炎がいかなるものか知っているだろう』と」
紅蓮の上に、群青が姿を現す。
「アイツが私をどう思っていようと、私にとってアイツは『他人』に過ぎない。仲間だなんて、何十年経ったって思わないでしょうね」
群青は大きくなって、止まった。
青い光を放ち、術者と同じ神秘的な雰囲気を醸し出す。
「・・・皮肉なものよね。私はアイツの事を『仲間』だなんて思っていないのに――――」
紅蓮の炎から伸びる、火傷の1つもない真っ白な腕。
その細く、白い指が―――――
「どういう事か―――――」
パチン、と。
静寂の、沈黙の中に、響き渡った。
「この炎が偽物だと――――――解ってしまうの」
刹那。
魔法陣から、水が降る。
雨が降っているのではない。文字通り、水が降っている。
より正確に言えば、水で構成された大きい花弁が、紅蓮に触れて、紅蓮と共に姿を消す。
「ま・・・仕方のない事、なのかしらね」
紅蓮がその姿を完全に消すまで・・・群青は舞う。
宙を舞い、紅蓮に触れ、消えていく。
「アイツが私を知るように、私も―――『ナツ・ドラグニル』という男を知っているから」
紅蓮が群青と消え、そこに佇んでいるのは。
全身に火傷を負ったグレイと、無傷でただ口角を上げるティア。
「いえ・・・『知りすぎている』から。アンタみたいな偽物の炎なんざ、本気を出さなくたって消せるわ」
滅竜魔法の炎は、アルカの炎とは違う。
竜を殺せる炎はアルカの様な一般的な炎と違い、その違いは一言で説明できないが、ギルド最強の女問題児と評されるティアでさえ、かなり苦戦する相手だったりする。
「ホッホウ!素晴らしい魔力だ!貴様もキャプチャーしてやるぞ!」
「っ!」
それを見た梟は、ティアに向かって
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