暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
従姉
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由から──。
【始まりの街】に留まり、安全と引き替えに己の強化を放棄するという選択肢は、レンには有り得なかったのだ。
そしてレベルアップを目指すなら、ぼんやり立ち止まっている時間はない。街周辺の比較的安全な草原フィールドは、同じく《動くと決めた者たち》ですぐにいっぱいになってしまうだろう。SAOのモンスター湧出は、エリアごとに一定時間で何匹までと決められている。最初の獲物が狩り尽くされた後は、次のPOPを探して血眼になり、時として他人と奪い合わねばならなくなるはずだ。
それを回避し、高効率のレベリングを図るなら、《比較的安全》の先──《少し危険》なエリアを目指す必要がある。
もちろん、初めてプレイする、右も左も解らないゲームの中ならそれは自殺行為だ。だが、今のレンにそれを構っている暇はない。
【始まりの街】の北西ゲートを出て、広い草原をそのまま突っ切り、深い森の中の迷路じみた小道を抜けた先に、【ホルンカ】という名の村がある。小さいがちゃんと《圏内》で、宿屋と武器屋、道具屋があり、充分に狩りの拠点に使える。
ホルンカの村を拠点に、今日中にできるだけレベルアップする。いま、時刻は午後六時十五分。周囲の草原は、アインクラッド外周から差し込む夕日で金色に染まり、彼方に見えてきた森は宵闇に薄青く沈んでいる。
あそこで日付が変わるまでひたすら狩りを続ければ、村が他のプレイヤーで埋まる頃には次の拠点へ移動できるだけのステータスと装備を得られるだろう。
「…………利己的もいいとこだな…………………」
全力で走りながら、レンは街を出て初めて、そう口に出して呟いた。
傍らで同じく全力で走るユウキが疑念の視線を向けてくるが、気づかないふりをした。
それと同時に、少し先の草むらに、青イノシシが一匹POPした。非攻撃的モンスターなので草原を抜けるまで全部無視するつもりだったが、衝動のままに初期装備の簡素な
短剣
(
ダガー
)
を腰のところにぶら下がっている
鞘から抜き放つ。そのまま単発ソードスキル《バレント》を発動させる。
同時にユウキも腰のところにさしていた直剣を抜き放ち、臨戦態勢をとる。
ターゲットされたことに反応し、イノシシはレンとユウキを交互に睨むと、右の前足で激しく地面を掻いた。
突進攻撃のモーション。ここで怯み、スキルを停めると逆に大ダメージを喰らってしまう。自分への苛立ちと冷静さの入り交じった気持ちでレンはモンスターを凝視し、弱点である首の後ろを照準しつつ技を放った。
短い刀身が仄かな緑色に発光し、鋭い効果音とともに
仮想体
(
アバター
)
が半ば勝手に動く。ソードスキル特有のシステムアシストが、斬撃モーションを強力に補正しているのだ。動きのモーメントに逆らわないように注意しながら、蹴り
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