暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
従姉
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分前に、疑いようのない明確さで宣言したからだ。
HP(ヒットポイント)がゼロになる───つまり《敗北》すれば殺す。あるいはナーヴギアを外す───つまり《ルール違反》をしても殺す、と。
現実感はない。あるはずもない。頭の中では、今も無数の疑念が渦巻いている。
解らない。理性では理解できない。
しかし、同時に本能では悟っている。
──茅場晶彦の言ったことは全て真実だ──
そう信じたがゆえに、ユウキ──紺野 木綿季は、いま懸命に走っている。
広大な草原の真ん中を、二人で。
この世界で初めてできた友人とともに。
浮遊城アインクラッドは、百に及ぶ階層が薄く積み重なって構成されている。下部ほど層が大きく上部に行くほど小さくなるため、城全体としては円錐形だ。最大となる第一層の直径は、実に十キロメートルにも及ぶ。主街区、つまり 第一層最大の都市である【始まりの街】は、層の南端に直径一キロの半円を描いて広がる。
街の周囲には高い城壁が築かれ、モンスターが侵入することは一切ない。また、街の内部は《
犯罪禁止
(
アンチクリミナル
)
コード》に保護され、プレイヤーのリアルな生命残量たるHPは一ドットたりとも減らない。言い換えれば、【始まりの街】に留まってさえいれば安全、絶対に死なない、ということだ。
しかしレンは、茅場晶彦のチュートリアルが終了したほぼその瞬間に、街を出ると決断していた。
理由は幾つかある。《コード》の永続に自信が持てなかったこと。必ず生まれるであろうプレイヤー間の不和や不信を忌避したかったこと。そして、骨の髄まで染みついたMMOゲーマーとしての、レベルアップへの執着。
もちろん、自分の剣で百にも及ぶボスモンスターを斬り倒し、このゲームをクリアしてやろうなどという勇者願望を持っていないと言えば嘘になる。そして、自分と同じようなことを考える者は少なからず──最低でも千人以上はいるはずだ。彼らはいずれ、単独にせよ街を出て、周辺の弱いモンスターを狩り、経験値を稼ぎ始めるだろう。レベルを上げ、装備を更新し、強くなっていく。
そこで二つ目のセオリー。
デスゲームでは、プレイヤーの敵はルールや罠、モンスターだけとは限らない。同じプレイヤーも敵となり得る。
このSAOは、街の外すなわち《圏外》ではPK(プレイヤーキル)有りだ。と言っても、殺すまではしないだろうが──それは本当の殺人になってしまうのだから──、武器で脅してアイテムを奪い取るくらいのことをする人間が一人も出てこないとは、残念ながら確信できない。敵になる可能性のある誰かが、自分より圧倒的に高いステータスを備えているという状況を想像しただけで、リアルな危惧と恐怖が口中を苦くする。
以上の理
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