第5章 契約
第78話 生きている炎
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団が低空域に踏み込んだ瞬間に放たれたのは、具現化したクトゥグァの触手。但し、完全に全能力を発揮出来る状態ではなかったと思うので、あの程度……全長で数百メートル程度の、それも一本の触手のみでの迎撃でしたが、時間が過ぎて行けば行く程、危険度は増して行くでしょう。
「私が地上に降りて攪乱をしますから、マジャール侯爵と飛竜騎士団の方々で、浄化の魔法を放っては貰えないでしょうか?」
俺は、マジャール侯爵に対してそう依頼した。
尚、このハルケギニア世界には聖属性に分類される浄化の魔法は存在しては居ません。表向きは……。
しかし、裏側。俺が召喚されてからタバサと経験して来た世界の裏側には、俺の暮らして来た世界と同じような結界魔法や呪いに属する魔法も存在して居ました。
ならば、聖に属する浄化の魔法も存在して居るはずです。
それに、蒼き戦姫アリアが放つ斬撃には、間違いなく聖の属性が付与されて居ます。
俺の言葉に、大きく首肯いて答えるマジャール侯爵……とは限らないけど、見た目は青年貴族に見える偉丈夫。
まして、現在、この場に現れた飛竜騎士団を統率して居るのは、この騎士で間違いない。
そうして、
「アリア。お前もルイスと共に地上に降りて時間稼ぎの手伝いを頼めるか?」
俺から、俺の傍らに立つ自らの娘に視線を移した後に、少し予想外の台詞を口にした。
いや、完全に予想外と言う訳でも有りませんか。
「判りました、父上」
此方の方も先ほどのクトゥグァの触手が振るわれる様を見たはずなのですが、それでも怯む事もなく、簡単に肯定の答えを返すアリア。彼女の答えに因って、この新たに現われた青年貴族が、間違いなくガリア貴族マジャール侯爵カルマーンその人で有る事が証明される。
そして、その彼女の答えに異を唱える事もなく、ただ推移を見つめるのみのマジャール侯爵夫人。
……何と言うか、胆の据わった一家と言うべきか、無辜の民を護る騎士として当然の対応と言うべきか。
どちらにしても、今はあまり時間が残されていない以上、ウダウダと余計な事を考え続けて居る暇は有りませんか。
まして、実の両親が行けと言うのに、俺が異を唱える理由は有りません。
アリアの横顔のみでタイミングの確認を行い、一気に降下を開始する俺。その俺の動きに同期する二人の少女。
一人は当然、蒼き戦姫アリア。
そして、今一人はオルニス族の少女シャル。彼女に預けた俺の家族の身体は、今はマジャール侯爵夫人の乗騎の元に預けられている。
僅かに片方の眉だけで不満を示しながらも、シャルに対しても何も言葉を口にしない。
まして、この場に残ったとしても、今の彼女が飛竜騎士団と共に浄化の魔法を行使する事は出来ないはず。いくら魔法の才
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