暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第5章 契約
第78話 生きている炎
[5/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「悪いな、忍。アイツらは、俺とは相性が悪いヤツらなんでな」

 いや、その紅蓮の炎は無暗矢鱈と広がって居る訳ではない。それは何かの意志の元、地面に巨大で、更に奇怪な紋章を描き上げ……。
 すべてを呑み込み、燃やし尽くす炎。あれが広がり続ければ、世界は間違いなく滅びる。何故か、そう確信出来るレベルの邪悪な気配。

「大体が真面な知性すら持たない連中に、そもそも同盟関係などが成り立つ訳がないだろう?」

 視線は地上に。耳は上空から聞こえて来る声に集中させられる。
 しかし、……同盟関係。そう言えば、風の邪神と炎の邪神は同盟関係に有ると記している忌まわしい書物も存在して居ましたか。

「それじゃあ、後の事は任せた」

 せいぜい頑張ってくれよ、未来の英雄王殿。その場に居るはずなのに、何故か闇の向こう側から聞こえて来るような声が耳に届いた瞬間、上空から感じ続けて居た風の邪気が掻き消えて仕舞った。
 これは、少なくともヤツ……。自らが名付けられていないと自称している青年と、彼が自らの眷属と呼ぶ風に乗りて歩むモノ、それに、星間の旅人ビヤーキーは撤退したと言う事。

 そして、ヤツがもし、自称して居るように黄衣の王。つまり、ハスター(風の邪神)の顕現ならば、この大地に広がりつつある炎の正体は……。

「アリア。手を貸してくれ」

 もしも、この広がりつつある炎。最初に小さく灯った光の正体がアレならば、現在の状況は、今までよりも更に非常に危険な事態へと移行しつつある。
 何故ならば、少なくともここは高度千メートルほどの箇所。いくら俺の視力が通常よりも強化されているとは言っても、この位置から地上の小さな炎を完全に確認する事が出来る訳は有りません。
 まして、既に朝日に因り明るく成りつつあるこの時間帯には尚更。

 しかし、現実には最初に灯った強い光は確認する事が出来て居ます。
 つまり、この最初に灯った光と言うモノは、かなり強い光源だったと言う事。
 炎の邪神の眷属で、それほどの強い光を発する存在と言えば……。

「当然です。このまま、あの炎を無視して冬枯れの森が燃え尽きるのを黙って見過ごす訳には参りません」

 弱者を護るべき騎士として当然の台詞を返して来るアリア。その台詞と同時に、俺たちよりも低空域に展開していた飛竜騎士団が、おそらく指揮官の指示の元、広がって行く炎に対処すべく、統一された動きで低空域に侵入しようとする。
 ――――って、言うか、それはヤバい!

 次の瞬間、轟と空気が震えた。
 大地。既に複雑な紋様が刻まれて久しい個所から吹き上がる炎に弄られる飛竜騎士団。
 同時に周囲に発生する爆風。そして、その中核を為す炎の塊から周囲に向け発せられる雷。

 咄嗟に周囲に耐衝撃用の結
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ