第5章 契約
第78話 生きている炎
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ぎ。強大な龍気が陽炎の如き物を纏う。それは次第に凝縮して行き、通常世界とのずれを無理矢理に塗り潰して行くのだ。
「蒼穹に輝く白銀の太陽」
そして、俺と同時に紡がれる言霊。
その瞬間!
黎明の蒼穹に、再び新しき朝の光を完全に凌駕する閃光が発生した。
異なった……。しかし、同じ質の龍気に因り放たれた光輝が、一瞬にして接近中の鈍く光る青銅製の魔刃を呑み込む。
これで、ナナシの青年の行った攻撃は完全に防いだ――
……かに思えた。
しかし、と言うべきか、それとも矢張りと言うべきか。完全に呑み込まれ、すべてが魔力の塊から光へと昇華されたと思われた魔刃の内、大きな円を描くような軌道を行っていた数本が未だ――――
その瞬間に俺とアリアが未だ少し昏い黎明の明かりの中に、強い光を放つ数多の光が発生。
これは――――
強烈な雷の気を放つ球体。これは間違いなく紫電。大きさは大体バレーボールほどの大きさ。
その紫電が俺とアリアの周囲を完全に球状に包み込み、視界を完全に遮断。
そして――――
其処から外側に向け、一斉に飛び出す紫電。
複雑な軌道を描き、こちらに向かって接近しつつ有った残りのバルザイの偃月刀が、その紫電の動きに反応。それぞれがまるで意志を持つ存在で有るかの如き回避運動を開始する。
そう、有る物は急上昇から、急降下を行い。
また有る物は、横にスライドを行うような、蒼穹を飛ぶモノの常識から考えると明らかに物理法則を無視した機動で回避運動を行う。
しかし!
しかし、迎撃を行う紫電の方がその数が多く、更にバルザイの偃月刀よりも明らかに速度が上回っている。
そして、
「……やれやれ。一族や縁故の者で寄り集まって行動する連中は厄介だね、こりゃ」
次々と迎撃され、終に最後の一振りのバルザイの偃月刀が撃ち落とされた瞬間、名付けざられし青年が酷く疲れたような口調でそう言った。
それまでの彼の口調そのままに。ただ、今回の場合、この台詞は本心からの台詞であるのは間違いない。
それに、基本的に龍種と言う存在は、圧倒的多数を占める人類からはエリミネートされる存在で有り、その部分に関しては夜の貴族たるタバサたちの血筋も同じような物。
故に、同じ龍種同士や夜の貴族たちは、種族としての結束は強くなる傾向にあるのはやむを得ない事でしょう。
少なくとも俺の暮らして居た世界ではそうでしたから、その辺りに付いては、このハルケギニア世界でも大きく変わる事はないはずです。
もっとも、先ほどの紫電に関しては、おそらくマジャール侯爵夫人の魔法に因る援護などではなく、その傍に居るオルニス族のシャルの風招術に因る物。彼女と俺の関係は龍種同士だと言う訳でもなければ
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