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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第78話 生きている炎
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【言葉】を続けた。
 いや、普段の彼女からは少し……。ほんの少しだけ、タバサと言う名前の少女を演じて居るような微妙な雰囲気を発する事が有ります。もしかすると今朝は、タバサと言う名前の少女を演じていない。仮面を被っていない彼女が表面に出て来て居るのかも知れません。

 上空から襲い来る炎もたらすモノを普段よりも余裕を持って躱し、左脇に構えた光輝の一閃にて浄化して仕舞う。

 もっとも、そんな事は別に珍しい事では有りません。大体、どんな人間でも有る程度の自分と言うペルソナを演じて居るはずですから。
 ホンネだけで生きて行ける人間など存在して居ないでしょう。

【あぁ、俺は相手の雰囲気を読む事に因って相手のある程度の思考を読む事が出来る。ただ、その事に因って相手を完全に理解しているとは思ってはいない】

 そして、タバサが次の言葉を発する前に、彼女が口にすると思われる内容を先に口にする俺。
 それに、それは何時も自分に戒めて居る内容。俺は相手の考えを何もかも見透かせるほどに世慣れている訳でもなければ、多くの経験を積んで来ている訳でもない。その程度の人間が、少し雰囲気が判るだけで相手の事をすべて判った心算で居たら、必ず何処かで大きなミスをする可能性が有りますから。

 俺の【答え】を聞いて、彼女は微かに首肯いた。
 しかし、

【それでもあなたは、少し相手の気持ちを深く理解して欲しい】

 矢張り、今朝の彼女はかなり饒舌。それだけ、この会話は彼女に取って重要な内容だと言う事なのでしょうか。
 もっとも、俺としてはある程度の場の空気を読んで行動している心算でしたから、タバサから気持ちを理解して行動してくれと言われたとしても……。

 タバサの言葉の真意に辿り着けない俺の思考が、行き止まりに到着し掛かったその時、彼女が【言葉】の続きを伝えて来た。

【あなたの事を大切な存在だと考えて居る人間に取って、あなたが傷付く事は耐えられない苦痛と成る可能性が有ると言う事を】


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