反董卓の章
第14話 「所詮は私も……道化なのでしょうね」
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せこの諸侯連合、本当に麗羽の檄文を信じている者なんていないのだから。すでに現状、引き返せない処まで来ているのは皆も承知の上。まあ今はその稚拙な嘘に乗ってあげましょう……話は以上ね。私は陣に戻るわ」
「ふむ。ま、曹孟徳殿に同感だな。所詮は利害関係の連合だ。我らは『袁紹殿の』呼びかけに参上したに過ぎん。そうですな、張勲殿」
「はい〜そうですねぇ。袁紹様が『これが真実だ』と示されて、その正当性をもって私達を集めたのですからねぇ。今さらそれが偽物かどうかなんて、私達には責める権利はあっても、庇う責任はありませんからねぇ」
張勲の言葉に、口元を引くつかせる麗羽。
あら……珍しいわね、貴女のそんな顔は。
これが見られただけでも、こんな茶番を見せられた甲斐はあったかしら?
「お、お待ちなさい! 話はまだ――」
「糧食の件なら報告する必要はないわよ、麗羽。貴女が決めた数をそれぞれ配分すればいいのだから。あとは劉備や劉表たちを交えて、正式に軍議を開いて頂戴」
「そ、それは……」
「安心しなさいな。さっきも言ったけど、貴女の嘘には乗ってあげる。別にこちらから今回のことをその場で言うつもりはないわよ。どの道、公孫賛が抜けた話は、仲の良い劉備あたりが聞いてくるでしょうしね。どう言い訳するか、楽しみにしているわ」
私はそう言って天幕を出る。
そのすぐ後に、張勲や周喩とかいった軍師が続いて天幕を出た。
「「「 ……………… 」」」
互いに滑稽なものを見たという苦笑で挨拶を交わし、それぞれの陣へと向かう。
まったく……
この連合というものが、如何に馬鹿らしいものかを見せつけられた一時だった、
だが、私にはどうでもいい。
この連合に参加した目的は、諸侯の調査と名を示すこと。
すでにその半分は目的を達している。
あとは……
「虎牢関、ね。まあ、それもどうでもいいことよ。全ては洛陽で民に名を示すことが出来れば問題ないのだから」
せいぜい頑張りなさい、麗羽……
―― 袁紹 side ――
「どういうことですの、唐周さん! あれでは劉虞との約定を破ったことになるではありませんの!?」
「落ち着かれて下さい、本初様。約定破りにはなりませぬ故」
わたくしが唐周さんに食って掛かると、平然とした顔でそれを受け止める。
一体、どういうおつもりですの……?
「劉虞との約定は、『公孫賛を連合に参加させ、自領から引き離す代わりに告発文の証明をする』です。すでにその約定は果たされています」
「…………?」
「つまり、一度は自領地から引きずり出しました。その後戻ってしまうのは、約定には含まれておりません」
「……あ」
……確かに。
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