反董卓の章
第14話 「所詮は私も……道化なのでしょうね」
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隷のごとく扱うというのは、為政者として恥ずべきものである上、高祖劉邦の政策を真っ向から否定する行為。
そして仮にも劉虞は漢の宗室――漢王朝の末裔。
……そう。
劉虞はすでに、そこまで堕ちていたのね。
「本初! お前が指示した、と言ったな。まさかお前も……」
「え? あ、い、いえ! し、指示はしていませんわ。あ、あくまで『お願い』したのですのよ!? そ、そもそもこれは、劉虞様の方からおっしゃられたことで……」
「劉虞、が?」
「あっ……」
……本当に馬鹿ね、麗羽。
あなた、全てを終わりにしたわよ?
「お前に『何を』……劉虞は何をお願いしたんだ、本初!」
「あ、え、えと…………」
しどろもどろの麗羽。
その場には私と麗羽、公孫賛の他には、袁術軍の張勲、そして孫策軍の周喩がいる。
劉備と劉表はこの場にはいない。
元々が先陣の不始末による糧食の補填の話だったからだ。
だが、その他にもう一人、この場にはいた。
「落ち着いてください、公孫伯珪殿。私から全てお話致します」
その男は、麗羽と公孫賛の間を取り持つように声を上げた。
麗羽の配下の文官だった。
「と、唐周さん……」
「本初様、事ここに至っては全てをお話するべきでしょう。公孫伯珪殿……本初様は、劉虞に強制されたのです。宦官・段珪の告発文を偽造と言われたくなければ協力せよ、と」
「な、に……」
……へえ。
「最初、本初様は断ろうとしました。しかし、協力しなければ告発文が偽造と断じられた上、それを持って逆臣としてもよい、と言われてしまいました。それで本初様は、しぶしぶ貴方を劉虞様の代理にすることを飲んだのです」
「…………本当か?」
「え、あの…………」
「もちろんです。本初様はその後ろめたさ故に、貴方様を前線に立たせようとはしなかったのですから」
……この男。
とんだ詐欺師だわ。
言葉巧みに事実をねじ曲げようとしている。
それを示す証拠がないとわかっていて……
「劉虞からの指示は、貴方を自分の代理として連合に参加させ、その戦闘で密かに暗殺することでした。しかし、本初様は連合に招き入れても貴方を戦場に立たせようとはしなかった……貴方を暗殺させたくないからです。だからこそ、本初様は貴方を最も安全な後曲に置き、本来は偵察や伝令などで貴方を使うことも出来たのに、それを馬岱に任せた」
「………………」
「考えても見て下さい。貴方がこの連合に来てから、本初様が貴方になにか命じましたか? なにか無茶を言いましたか? 総大将を決める議でも、貴方が途中退室して、なにか咎めることを言ったことがありましたか?」
「む…………」
「ないでしょう。あるわけがない。貴方が積極的に前
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