反董卓の章
第14話 「所詮は私も……道化なのでしょうね」
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わね。
すでに……見切られているわよ、貴方と劉虞の策略なんて。
「正直、私はやつを信じていたかった……あいつが流れる血は桃香と同じもの。だからこそ、あいつが私財を投げ打って民を復興していると聞いた時は、本当に嬉しかった。私の下に来た老臣の言葉にも偽りはないと思っていた……だが、お前の言葉ではっきりとわかったよ。すべて……全て私を自領地から離すために手を組んだんだな!?」
「………………な、なんで」
「っ! あいつが平原で何をしたと思っている! 民を虐殺し、商人から金を巻き上げた! そんなあいつが私に言ったのは、民の救済と平原の復興だ! それなのに『強制』だと!? 民を無理やり戦に参加させようとすることのどこが復興になるというんだ!」
「あっ…………」
そう。
麗羽が言ったのは募兵ではない、徴兵。
徴兵とは、強制的に兵役につかせること。
本来の兵役は警邏や警務であり、いわゆる雑務だ。
一般的に私達が行っているのも徴兵ではあるけれど、それとは別に臨時で兵を集める時は募兵という形をとる。
募兵するということは、対価をもって兵を雇うということ。
徴兵には対価は基本支払われない『強制』的なものなのだ。
で、あるにも拘らず、徴兵の上に強制がつく。
つまりは……本来の兵役ではなく、民を無理やり強制労働させているということに等しい。
ただ、それ自体は珍しいことではない。
この大陸ではどこでも行われていることだし、昔からそうだ。
非道ではあるけど、別段特別というわけでもない。
だが、徴兵された民の士気の低さを考えれば、それは非効率的ではあると思う。
私はそれが気に入らないために、屯田兵という制度を作ったのだけど。
では何故、公孫賛が激怒するのか。
それは公孫賛が言っていた。
『民の救済と平原の復興』
この二つが原因なのでしょうね。
つまり――
「守るべき民を、救うべき人を『奴隷』として扱うとしたんだぞ! これが許されることか!」
高祖の時代より一度この国は、王莽に滅ぼされ、新という国になった十数年。
その新が光武帝により復興され、実に百五十年以上たった現在でも奴隷という制度は細々と残っている。
とはいえ、高祖自身が農奴や剣奴の解放を謳い、民の指示を得ていた為、家内奴隷や受刑者親族を除けば、ほぼ奴隷というものはなくなっている……と、漢の公式的な主張ではそうなっている。
まあ、実際には奴隷自体はまだまだいるけれど。
それでも百人に一人、いるかどうかというほどの少なさにはなっているこの時代。
基本、奴隷とは漢の民ではなく、重罪を犯して賎民に落とされた者や奴婢のこと。
守るべき民に対して、奴
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