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聖戦のデルタ
『第五次世界大戦』の部
レクエムの章
第四話『第五次世界大戦』
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が倒れていく。

まだ小鳥遊と泰河は生き残っているが、公園にある遮蔽物を利用して戦うのが精一杯だ。それに、アサルトライフルを使っても装甲戦車は倒せない。
兵士達の数は増えていく一方だ。

(くそぅ!これじゃ埒が明かねェ!)
小鳥遊が舌打ちした。
泰河と小鳥遊はお互い、4、5m離れた位置で戦闘していたが、隙を見つけて泰河が小鳥遊の所に駆け込んできた。
「翔馬!俺達じゃ装甲戦車には勝てない!一旦退こう!」
泰河が小鳥遊の腕を掴む。
「俺達がここで踏ん張らねぇと、美弥妃や恵奈がやられちまうだろ!少しでも時間を稼がねぇと!」
「…………」
泰河は少し考えてから、
「でもお前が死んだら意味ねぇだろ?」
泰河は真面目な顔で言った。
小鳥遊は泰河の目を見て、何も言えなかった。
「お前が死んだら、俺と、美弥妃と恵奈はどうするんだよ!!」
「…………ごめん。」
俯き加減にうなだれる小鳥遊。
「翔馬。今俺達がなんの為に戦ってるのか、考えろ……」
泰河はそう言うと、小鳥遊の手首を握って、引きずる形で歩き出した。
どこへ向かっているかというと、
榊町だ。

こんな風に、小鳥遊と泰河、それに恵奈は、互いに叱咤激励し合いながら生きてきた。
真の『友達』であり、『仲間』。男女の隔たりなど、彼等には存在しない。


***


アライア発榊町行特急列車は、草原を全速力で走行していた。
「翔馬君達、大丈夫でしょうか?」
「翔馬はねー、強い子だから大丈夫ー。泰河君はしっかりしてそーだよねー」
恵奈は美弥妃に対して敬語を使う。美弥妃が翔馬の姉であるからにして。
一体、2人はどこにいるかというと、特急列車の第五車両内にいる。
当然ながら、車内には女子供しか乗っていない。

特急列車に乗ってからというもの、2人は翔馬の事ばかり話している。
そして美弥妃が唐突にきりだした。
「恵奈ちゃんは、翔馬のこと好きー?」
「な、何ですか!?急に!」
いきならの質問に、慌てふためく恵奈。
だが美弥妃は続ける。
「翔馬の将来のお嫁さんは、恵奈ちゃんかなーって思ったのー」
「お嫁さん……そんな……」
恵奈は顔を真っ赤に染めて、頬に手を当てる。
恵奈がうーんと唸っている時、
列車が大きく揺れた。
人々がざわつく。
切り替えの早い恵奈は
「今のはなんでしょう?」
と言って、ふと列車の窓の外を見やる。
数秒後、緑の草原に黒い鉄の塊が現れた。”それ”はアライア方面から走って来た。
戦車だ。車体に馬鹿でかい砲身がついている。
「戦車だ!」
列車に乗っている1人の男の子が戦車を指差して言った。
周囲の人々の視線が窓の外に注がれる。
戦車が砲口をこちらに向けた。
真っ黒なボディが黒光りする。
(マズイッ!)

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