雪原の戦闘
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ブリザードが吹き荒れる中で、男達が叫び、雪の壁に潜ませる。
分隊長バセット伍長が指で合図を送り、左右から男達が飛び出した。
左から飛び出した男は、敵の集中砲火をくらい、雪に埋まる。
だが右から飛び出した男は、左に集中した男に一撃を入れるや、前方の壁まで走ってたどり着いた。
荒い息を吐きだして、集中する攻撃に耐える。
僅かばかりの雪壁は、攻撃によって次々と削られていった。
「援護しろ」
吹雪の中で、バセットの声ははっきりと聞こえた。
繰り返されるバセットからの攻撃に、男へと向けられていた攻撃がやんだ。
即座に男は両腕に武器を握りしめて、走り出す。
狙いは陣地の中で、こちらを攻撃していた敵兵だ。
敵陣地に飛び込むや両の手から放たれた攻撃は、狙いたがわず敵の頭部を捉えた。
雪に埋もれる兵士には構わず、すぐに男も雪の中へと身体を差しこんだ。
直後、頭の上を攻撃が駆け抜ける。
やばいやばい。
小さく呟きながら、ごろごろと身体を回転させて攻撃を避けた。
そこへ再び味方からの援護があった。
敵の攻撃が弱くなる。
ならばと再び男は身体を跳ねるように起き上がらせて、走った。
敵の陣地に靡く旗。
そこまでは雪の壁一つ隔てだけでおり、味方の援護によって、攻撃は少ない。
「全体、突撃!」
バセットの号令とともに、歓声をあげて、後方から兵士が続いた。
攻めどきだと。
そう判断しての行動であろう。
敵陣に一人先行した男も、同様の意見であった。
突撃最中は無防備であり、敵から攻撃があれば、一たまりもない。
だから、男は走った。
既に限界を告げる肺に力を込めて、相手の攻撃を少しでも減らすために。
直後。
自分の身体が沈んで、一瞬にして、男は下半身を雪に埋めた。
何がと思う間もなく、男の高笑いが聞こえる。
「はっはっは。馬鹿が罠にかかりよったわ。それ、全員攻撃じゃ!」
笑った言葉とともに、カッセルの雪玉が男の顔面を直撃した。
死亡。
続く陣地からの攻撃に、突撃の最中であったバセットを初め、第二分隊の兵士達は誰も止められない。
次々と繰り出される雪玉に、男達は撃破されていった。
「そこまで。第二分隊全滅のため、第一分隊の勝利とする」
防寒着を着こみながら、白い息を吐いて、アレスが脇から現れた。
いまだに高笑いするカッセル軍曹に近づいて、小さく苦笑する。
「相変わらず悪辣な爺さんだ」
「まだまだ若い者には負けてられんわい」
「バセット伍長にも爺さんの半分くらいの悪辣さがあればな」
「それは勘弁じゃな。第一分隊の連勝記録は、相手が馬鹿だから成り立っているものだからの」
「その第二分隊に背中を預
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