ナツ、エサになる
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開いた。
「いらぬ疑いをかけられたくなかったから黙っていたが、俺はジェラールという人物を知っている。奴のしようとしてる事も」
刹那、会場が一気にざわついた。
「ジーク・・・全てを話せ」
桜色の火を吹く竜と、煌めく深海色の閃光が相手をするのは、名前通りの顔の梟。
梟の蹴りをナツが左腕で受け止め、その反動で軽く吹き飛ばされる。
「火竜の・・・」
そこから回転し、床に右手を付け――――
「鉤爪!」
容赦なく、炎を纏った蹴りを梟の顔面に決めた。
ナツと梟、両者がほぼ同時に着地する。
「ホウ」
「フン」
深海色の閃光――――ティアは、特に何もしない。
彼女は人の獲物をとるほど愚かじゃない。ナツの獲物はナツの獲物。自分には関係ない。
ティアが動くのは、彼女の本能と信念が一致し、己に己が命令を送った時だけだ。
「ナツと互角!?あの梟やるよ」
「く・・・」
「当然でしょ。相手は暗殺ギルドの特別遊撃部隊・・・人を傷つけ、殺すにはそれなりの実力が必要なの」
ハッピーの言葉にシモンが呻き、ティアはただ淡々と告げる。
感情をこめず、表情も変えず、『他人の戦いは他人の戦い』と、ハッキリとした目で、ナツを見る。
「そろそろ貴様に正義の鉄槌を下してやろう」
そう言うと、梟は背を屈めた。
背中のロケットの勢いが増していく。
「ミサイルホーホホウ!」
叫びと共に、ロケットがナツに向かって飛んだ。
「!」
それを目に映したナツは、ロケットが自分の頭上を通ると同時にその場にかがむ。
「うわっ」
が、ロケットは突如進路を変え、床ギリギリを―――ナツの足元を飛んだ。
「ホウ!」
梟が短く叫び、右掌をロケットに向ける。
すると、ロケットから何かを掴む為の機械的なアームが現れ―――――
「!」
ナツの両肩を―――正確には両腕の肩に1番近い部分を―――掴んだ。
「ぬおおおおおおっ!」
と、同時に、凄まじい音を立ててロケットは飛ぶ。
―――――ナツを掴んだまま。
「ホーホホウ」
腕を組んでそれを見つめる梟。
「くだらない技だが恐ろしい」
怪我をした左胸を押さえ、シモンが呟く。
――――――その『異変』に誰よりも早く気付いたのは
「・・・マズイわね」
ティアだった。
「ま・・・まさか・・・」
続けてハッピーが青い顔を更に青くする。
2人の視線の先にいるのは、機械的なアームに捕まれ、ロケットと共に空を飛ぶナツ。
そのナツの顔色は、徐々に『悪くなっていく』。
「貴様の弱点は解っているぞ、火竜」
そう。
魔導士
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