暁 〜小説投稿サイト〜
空を駆ける姫御子
第二十四話 〜彼女たちのお話 -スバル・ナカジマの章-【暁 Ver】
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。タカムラは全く視界には入っていないらしい。タカムラは、そんな二人を不機嫌そうに見ながら入り口まで歩いてくる。人形のようなアスナの表情に薄気味悪さを感じながら、横を通り過ぎた時。全身が──── 総毛立った。

 今まで感じたこともないような『気配』に飛び退るようにして距離をとる。背中に嫌な汗が流れるのを感じながら、桐生アスナを警戒するように見据えた。ゆっくりと、タカムラへ向けたアスナの顔は。人形などとはほど遠く、凶悪に顔を歪めながら嗤っていた。アスナの後ろにいるシグナムの不思議そうな表情に気付いたタカムラは、逃げるようにしてその場を立ち去った。





 スバルは全身の力が抜け落ちたかのように、その場に座り込んだ。一時はどうなることかと肝を冷やしたが、偶然とは言えシグナムとアスナに助けられた。彼女が知りたかった情報は得られなかったが、思わぬ収穫はあった。例えそれが──── 蜘蛛の糸のようにか細いものだったとしても。タカムラは去った。だが、スバルはこのまま調査を続行するのはリスクが高いと判断した。然りとて、次の機会はもうないだろうとも考える。暫く思案に暮れていたスバルではあったが、撤退を決意した。





 結局あたしは、あいつの尻尾を掴めなかった。数日後に試した同じ認証パスワードは通らなかった。変えられたんだ。それは、つまり……警戒されていると言う事。違う手を考えなきゃいけない。今回の件をティアやアスナに報告しようかとも思ったけど、あたしはまだ何も掴めていない。まだ、言うわけにはいかない。だけど、絶対に掴んでやる。そう、あたしは

「……こころにきめたのであった」

「ねぇ、アスナ。珍しく、あたしの部屋に遊びに来たと思ったら、な、何を読んでるのかな?」

「……スバル・ナカジマさん、十五歳のおとめにっき」

「だよねぇ。凄い見覚えがあるもん、そのノート。……表にでろ、記憶が飛ぶまで殴る」

「……やってみろや。ア行をいえなくしてやる」





「……ねぇ、ティアナ?」

「なんでしょうか、フェイトさん」

「どうして、スバルとアスナが取っ組み合いの大喧嘩してるの?」

「さぁ。原因は十中八九アスナにあると思いますが……偶にやるんですよ。飽きるか、お腹がすけば自然に終わりますので、放っておけばいいです」

「人の日記を勝手に読んじゃ、ダメでしょっ! バーカ、アスナのバーカ」

「……バカって言うほうが、バカ。バカ、バカ、バカ。ぱーんち」

「いだっ、それ、キックだよっ」

「……理由はなんとなくわかったけど……子供の喧嘩だね」

 中庭で繰り広げられた久しぶりの大喧嘩をティアとフェイトさんが見物してる。ティアが呆れたように見てるけど、今回ばかりはアスナが悪い。あた
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