第二十四話 〜彼女たちのお話 -スバル・ナカジマの章-【暁 Ver】
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を上手く制御することに全力を注いだ。元々、魔導師になるつもりなんてなかったから普通校だったし、魔法もさっぱりだった。だから、ギン姉からシューティングアーツを習い、魔法も独学で身につけた。……その頃にはもう母さんはいなかったし、父さんは魔法を使えないから。訓練校に入学する頃にはその努力は実っていた。母さんの知り合いだったマリーさんも協力してくれたのは大きかった。そして、あたしはあの二人に出会ったんだ。
何もかも諦めて、全てを悟ったような目をした女の子と。理由はわからなかったけど、全てを遠ざけて傷つけていた女の子。一人の女の子は救えた。無我夢中だったし、スマートでもかっこよくもなかったけど。問題は、もう一人の女の子だ。
──── ……みんな、私がきらい
違う。違うんだよ。そうじゃない、そうじゃないんだ、アスナ。周りの人間がアスナを嫌っているんじゃなくて、アスナが周りの人たちを嫌ってるの。何故そんな事になったのかは未だにわからない。だけど、そのことに絶対、気づかせてあげる。……そう誓ったんだ、ティアと二人で。
人気のない六課オフィスに、スバル・ナカジマはいた。時刻はすでに深夜。明かりも途切れた暗闇の中で、スバルは一人。立ち上げたスクリーンを見つめながら、忙しく指を動かす。緊張して喉が乾いたのか、それとも口寂しくなったのか、彼女は飴を口へと放り込んだ。
「キーをタイプする音って意外と響くんだ……お願い、通ってよ」
アスナから教えて貰った認証コードを打ち込む。六課のロゴマークがくるり、くるりと回るスクリーンを息を呑んで見つめていると。
──── Welcome! E.Takamura 【Administrative Bureau. Lost Property Riot Force 6】
「よしっ!」
スバルは拳を握りしめ喜ぶのもそこそこに、目についたファイルに片っ端から目を通していく。ファイル自体が暗号化されていなかったのも幸いした。だが、喜色満面といったスバルの表情であったが、次第に落胆の色が濃くなっていく。
スバルが欲しているのは、エイジ・タカムラが『ジェイル・スカリエッティ』と繋がっていることを示す情報だ。結果的にスバルの推理は間違っているのだが、それを彼女は知らない。仕方ないことだろう。すでに時空管理局の局員として、スカリエッティ側の『戦闘機人』が潜り込んでいるなど、彼女には想像出来なかったのだから。
「はぁ……無駄足か」
スバルは肩を落としながら、やけくそ気味に一つのファイルを開く。スバルが何気なく文書ファイルの表題に視線を走らせた時。彼女の心臓が──── 跳ね上がった。
──── 『ヨハン・ゲヌイトに関する調査報告書』
スバルの思考はたっぷり
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