第二十四話 〜彼女たちのお話 -スバル・ナカジマの章-【暁 Ver】
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「ん? なに、アスナ。今のあたしを邪魔する人間はアスナと言えども」
「……だまれ。これ」
スバルが首を傾げながらも、アスナから差し出されたメモを受け取る。アスナ特有の丸まった文字へと視線を走らせると、スバルは同じように目を丸くした。
「嘘……もう、わかったの?」
アスナの話によると虫の複眼は意外と発達しており、色の識別もある程度は可能と言うことだった。だが、視力が弱いらしく人間で言えば0.1以下。その為に数日は待って欲しいとスバルは言われていた。
「……取得した映像をかいせきしたボブにかんしゃしてください」
ボブはアスナが取得した映像を補完、修正。そしてキーを叩く指の動きや位置などから、打ち込まれたキーワードを割り出したのだ。探索や解析に特化したボブの面目躍如と言ったところだろう。
「うん……アスナにも感謝だね、ありがとう」
「……なら、お礼にティアナに向かって、ばーかと言ってください」
「何その罰ゲーム。いやだよ」
「……真顔」
「アスナだって知ってるでしょ。ティアは人から馬鹿って言われるのが、一番嫌いなんだから」
「……これだから、主席卒業は」
アスナはそう言いながら、やれやれとばかりに肩を竦めてみせた。因みにスバルはそれに次ぐ成績で卒業している。アスナは実技の成績は良かったが、座学の内申点が悪かった為に真ん中より少し上という成績であった。そんなアスナへ背後から忍び寄る影があった。
「こんにちは。主席卒業のティアナ・ランスターです」
ティアナであった。後ろを振り返ったアスナへと聖母のような微笑みを向けている。だが、こめかみに太い血管が浮いているのをスバルは見逃さなかった。
「アスナ?」
「……はい」
「ちょっと、こっちに来なさい」
ティアナは有無を言わさず、アスナが着ているワイシャツの襟を掴むと、引きずるようにして連行していった。
「……どこにいく」
「優しいお姉さんが、美味しいお茶とお菓子を用意して待ってるわ」
「……わーい」
そんな二人をいつものようにスバルは見送った。心なしか食肉処理場へ連れて行かれる家畜を見るような目で。因みに優しいお姉さんはシグナムで、向かう先は説教部屋だ。
──── よく来たな、アスナ
──── ……あがー
遠くから聞こえてくる喧躁を余所に、スバルはもう一度アスナから渡されたメモを見つめながら、表情を引き締めた。
「今夜、だね」
スバルは丁寧にメモを折りたたむと、胸ポケットへと入れる。当初の目的を思い出したスバルは、食堂へと歩を進めたが、空腹はもう感じていなかった。
それからあたしは『戦闘機人』としての能力と力
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