”狩人”フリアグネ編
五章 「紅世」
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「近いって事は、『徒』は俺達と同じ様な存在って事か?」
「それを貴様らの概念で説明するのは難しいな」
それもそうか。全く違う次元の住人だしな。だが実際、アラストールとは会話が成立している。ならば『紅世の徒』は人間と近い存在と考えた方が良いだろう。
そうなると、状況によっては変わるかもしれないが、『徒』は俺の『正義』の防衛対象に入る。というより、悪には悪の正義がある。実際、俺の正義だって相手からしたらただの妨害行為に過ぎないからな。
だが、私欲のために何の罪もない人間を襲った奴を許す訳にはいかない。それだけは許される事ではない。
「なる程な。アラストール、なんとなくアンタの事は分かった。でだ、改めて訊くがシャナ。しばらくの間は頼りにしていいのか」
正義を貫くって点では、アラストールの方が遥かに正しい。そして、話をする限り、まだ感情を擦り減らしている様子もない。俺の心情の問題だからしっかりと割り切らないとな。
しかし、シャナ。みたらし団子ばかり食ってないでいい加減会話に戻って来て欲しい。
最後の一本を食べ終えたシャナは、指に付いたタレを舐めながら答えた。
「だから言ったでしょ、お前っていう『ミステス』が燃え尽きるか、それを狙うここに居る『徒』を討ち滅ぼすまでは、守ることになるって」
本当に身も蓋もない言い方だ。しかしそこに悪意はなく、ただ事実をぶつけているだけだった。
きっと誰よりも純粋で素直な子なんだ。俺とは違って―――な。
「そいつは心強い。けど、四六時中一緒に居るわけにはいかないだろ?」
「とりあえずは、夕方を警戒するわ」
シャナ曰く、昨日みた結界―――もとい『封絶』は通常、日中と夜間の境目である、夕方と明け方に行われるとの事。その為、襲撃もその時間帯に大体は限定出来るらしい。時間厳守な連中で俺としては助かる。
だが、朝はともかく夕方って言うのは曲者だ。
「学校に居たら下手をすると、一般生徒が巻き込む可能性があるんじゃないか?」
無論、市街地では一般人もそうなる。
俺の心配を他所に、シャナは頬杖をついて呆れ顔を作った。
「なに当たり前の事言ってるのよ。私が何の為にここに居ると思うの?」
その返事が意味するのは、俺の身を守るという事だろう。
なら一般人はどうなる? 俺としてはそっちの方が心配だ。一応、少しだけ期待を含めて、訊いてみた。
「じゃあ、一般の人は?」
「なにそれ?」
やっぱり、そうなるよな。いや、何となく察しはついていたんだけどさ。
仕方がない。今の体の状態で、どれだけ戦えるか分からないが、その辺りは俺がやるしかないみたいだな。
「いや、良い。何となく予想はしてたし」
ため息をつきながら、立ち上がる。そろそろ一段落って所だろう。
「どこに行くの?」
シャ
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