”狩人”フリアグネ編
五章 「紅世」
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んと答えてくれるし。
それじゃあ、ついでに昨日から気になっていた事も聞いてみるか……。
「じゃあ……その声の出るペンダントは、通信装置の一種なのか?」
「似て非なるものだ」
セーラー服の胸元に出ているペンダントから、今までずっと黙っていた声が答えた。今、ここには二人しか居ない為、周囲に露見する危険がないからだろう。
「これは、この子と契約した『紅世の徒』である、内に蔵された我の意思だけを、この世に顕現させる『コキュートス』という神器だ」
内に蔵された意思だけ、という事は、本体は彼女と一体という事だろう。
「つまり、君の中にいる『紅世の徒』の意思だけを、そのペンダントで表に出してるって事で良いのか?」
「そうよ。名前はアラストールって言うの」
アラストール……ね。わざわざ補足してくれたって事は、今後、間違えるとマズい事になりそうだな……。
しっかりと記憶しておく事にしよう。
「なる程な。契約したって事は、やっぱりあんたは元々人間なのか」
人外の力を行使する為に、人ならざるものと契約する。魔術師でもよくある話だ。
「そうよ」
シャナは軽く答えた。きっと少女にとっては、先程までの教師の一件と同様、その程度の事なのだろう。
「なんでフレイムヘイズになったんだ?」
だからこそ、気になった。何が少女に人外の力を求めさせたのか?
「お前の知った事じゃないわ」
それはとても明確な拒絶だった。
これ以上、この件について何を聞いても無駄だろう。誰だって話したく事の一つや二つはある。俺だって魔術を切嗣に教わろうとした理由は容易に話せない。
それに、シャナと出会ったのはつい昨日の事だ。少々踏み込みすぎた質問だったかもしれない。
「それじゃ、昨日の話について、詳しく教えてもらって良いか?」
話題を切り替えるためもあるが、昨日の事についてを聞く事にした。
「仕方ないわね……。それで、何が知りたいの?」
質問にあっさりと応じてくれて助かる。無視されても仕方がないと思っていたからな。
「紅世って言うのはなんなんだ?」
シャナはメロンパンの最後の一切れを口に放り込んでから、問いに答えた。
「紅世―――、『クレナイのセカイ』よ。この世の歩いていけない隣。ずっと昔、どこかの詩人が『渦巻く伽藍』に、そんな気取った名前を付けたんだって。そこの住人を『紅世の徒』って呼んでるの」
少々、聴き慣れない単語が多い為、理解するのに苦労する。比較的分かり易い単語は『歩いていけない隣』だけだ。
歩いていけない―――、つまり直接干渉する事が出来ない、という意味だろうか?
つまり、そこの住人という事は――。
「つまり……、こっちの世界で言うところの、異次元人で良いのか?」
ほとんど自分の想像で答えてみる。外れた
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