”狩人”フリアグネ編
五章 「紅世」
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はバタバタしていて、それ所じゃなかったから気にもしていなかった。
明日からは、弁当を用意しないといけないな。コンビニの製品を否定する訳ではないが、やっぱり手作りが一番だ。
料理は、俺にとって数少ない、他人が言うところの趣味だし……。
とにかく、今日一日は昼飯は抜きだ。帰りに買い食いをするのも悪くない。
そこで思案を終了し、シャナの方を見る。今に至るまでに四人の教師のアイデンティティを粉砕し、ある種の惨劇を引き起こした少女は、目の前でメロンパンをぱくついていた。恐らく、というか確実に自分の行いに何の感慨も感じていない。
メロンパンが美味しいのか、自然にほころんだ顔は、これまでの姿からは想像出来ない程、可愛らしい物だった。見かけ通りの年齢なら、非常に自然な姿である。
ただ、今の光景にも一つ不自然な点がある。机の上に置かれたどこぞのスーパーの袋が、異常なほど膨らんでいる事だ。
聖杯戦争当時の俺なら、いつもお腹を空かしている騎士王様のおかげで何の違和感も感じていなかっただろう。しかし、彼女が居なくなって久しい今の俺なら、この光景が異常だと感じ取る事が出来る……!
セイバーもそうだったけど、あの身体の何処にそれだけの量が入るんだ? きっと解決する事のない疑問なんだろうけどさ。
それはそうと、そろそろこの沈黙の空間が辛くなってきた。多分、俺から切り出さないと一生会話が始まる事はないだろう。
ちなみに、朝の一件以降、シャナとは口を交わしていない。別に話しかけるのを躊躇っていた訳ではないんだが……。
授業の合間の休み時間は、今は何処の範囲なのか調べるのに必死で、声をかける余裕は無かった。坂井悠二の過去の板書を確認しようとしたが、何を思ったのか、俺の持って来たノートは全部、おろしたての新品だったからだ。
「ちょっとばかし、言い過ぎだったんじゃないか?」
言うまでもなく先程までの授業の事である。一応、シャナに注意をしてみたが、シャナは心底不思議そうな顔をして、訊き返してきた。
「なんの事よ?」
その反応は予想外だよ。ついさっきの事じゃないか。
どうやら、教師のアイデンティティは少女にとっては、記憶にすら残らない程度の物らしい。
もう、俺に出来るのは教職員が立ち直れる事を祈るしかない。嗚呼、俺は無力だ……。
「いや、やっぱりいいよ……」
シャナは首を傾げて、再びメロンパンを食べ始めた。それにしても、本当に昨日怪物と戦っていたのか、嘘のように思えてくるな。何の屈託もない幸せそうな横顔だ。
そこで、ふと疑問に思った。
「フレイムヘイズも腹が空くのか?」
「んむ、当然でしょ」
メロンパンを頬張りながらシャナが答える。一応、俺を無視するという事はない様だ。なんだかんだで質問にはちゃ
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