”狩人”フリアグネ編
断章 「現状確認」
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そのまま扉にもたれて、座り込む。
「明日、ちゃんと謝らないとな」
短い間だが、暫くは俺の保護者になる人だ。
家族にあんな態度をされて、気を良くする訳もない。
だが、そのためにも俺は坂井悠二の部屋だった場所に来たんだ。
ここならば、より自然に接するために必要な情報が揃っているだろう。
盛大に部屋を散らかした所で、状況がようやく整理できた。
「結局こんな役か、相変わらず幸の薄い人生だな俺」
どうやら俺には幸運の女神に縁がないらしい。
いや、一応は縁があるって言った方が良いのか?
世にも恐ろしい、あかいあくまの加護があるし。
―――失言だった。
流石に言い過ぎたかも知れないな。
「まぁ、二度目の人生を送る事になった時点で十分な程の幸せ者か」
時間制限で転々としなければならないのが癪だが……。
部屋でアルバム等の資料を物色した結果、自分の設定は分かった。
名前は『衛宮士郎』のままらしい。
これはかなり重要な事で、実の所この世界に来てから、まだ誰にも名前を呼ばれていない。
それに、いかに身体が坂井悠二、知識も経験も継承しているとは言え、俺の名前は衛宮士郎だ。
自分が自分だという、最も分かりやすい証が名前である。
だからこそ、自分を偽る最も簡単な方法が偽名を使用するという事なのだ。
話がずれたな。
つまり坂井悠二と衛宮士郎を置き換えて、不具合のでる所には修正が加えられているらしい。
どうやら、火事に遭い両親を失った俺には身寄りが居なかった為、坂井夫妻が引き取ってくれ、居候として住まわせてくれている―――、という事のようだ。
面倒な手続きを全て片付けた上で、夫妻に俺を押し付けた人物は「ゼルレッチ」という老人らしい。
考えるまでもなく、あのゼルレッチだろう。
一応、公的な俺の後見人のポジションとの事。
孤児を押し付けるなんて、普通に考えたら迷惑な話だが、ここはあまり気にしないでおく事にしておいた。
気にした所で、今の俺にはどうしようもない。
どうやら設定修正に無理が生じた所には、俺を基点とした情報をワンクッション挟んでいるようだ。
「送り届けてくれた後にも、迷惑をかけちまったな」
実際にこちらの世界で、何かをゼルレッチにして貰った訳ではないが。
今頃、俺の作った借りを遠坂が返す事になっているのだろう。
もう会えるかどうかもわからない奴の為に、遠坂には苦労をさせた事になる。
「本当に迷惑をかけっぱなしだったな」
思えば今までの俺は遠坂に頼りすぎていたのかもしれない。
あの戦争から今まで、遠坂はいつも俺の味方で居てくれた。
だが、これからは自分の事は自分自身で管理しなければならない。
遠坂とも約束をしている。
「とにかく今日は寝よう、いざという時
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