第六十話 嵐の前その一
[8]前話 [2]次話
久遠の神話
第六十話 嵐の前
上城はこの時樹里と共にいた、いる場所は彼女の家だ。
そこで樹里が作ってくれたカレーを食べている。カレーの他にはキャベツの酢漬けにゆで卵、そして林檎もある。
カレーはカツカレーだった、その何片にも切られたカツを食べつつ樹里に言った。
「このカツって」
「うん、私が作ったの」
「ルーもだよね」
ルーは人参に玉葱、ジャガイモ等を非常に細かく切って入れたものだった。殆ど欠片までに細かく、刻む感じである。
「これも」
「そうなの、ちょっとね」
「頑張って作ったんだ」
「カレー好きだし」
まずはこう言う樹里だった。
「カツもね」
「そうだよね、駅前の商店街で」
「右手のよね」
「あそこの食堂のカツカレーってすごく美味しいけれど」
「娘さんが商業科の一年の」
「そう、あそこね」
その店の話にもなる。
「あのお店のカツカレー参考にしたのかな」
「そうなの、あそこのカツカレーこの前食べたけれど」
それでだというのだ。
「凄く美味しかったから」
「参考にしてなんだ」
「作ってみたの。けれどね」
ここで微笑んで言う樹里だった。
「上手くいったわね」
「うん、とてもね」
「それとだけれど」
樹里もカツカレーを食べている、そしてだった。
カレー以外のメニューも見て今度はこう言った。
「キャベツの酢漬けにゆで卵に」
「それと林檎もだね」
「栄養を考えてなの」
それで出したというのだ。
「どうかしら」
「うん、キャベツの酢漬けだけれど」
上城が最初に言うのはそれについてだった。
「これいいよね」
「美味しいでしょ」
「うん、付け合せにもいいし」
「それも考えてなの」
「ラッキョとか福神漬けと一緒なの」
「そうなのね」
「そう、それとね」
それに加えてだった。
「やっぱり栄養なの」
「キャベツって身体にいいからね」
「特に酢漬けはね」
「ザワークラフトだよね」
ドイツの代表的料理だ、無論この国以外でも食べられる。
「あれみたいな感じで」
「同じ様なものだけれど違うの」
ザワークラフトと今二人が食べているキャベツの酢漬けはというのだ。
「また別なのよ」
「そういえばこの酢漬けって」
「歯触りがいいわよね」
「シャキシャキッてした感じでね」
キャベツのものだ、しかも酢によってそれが引き締まりさらに酢の味まで加わって実に美味くなっている。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ