暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
一章 「外れた世界」
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衛宮士郎は突如訪れた事態に困惑した。
それは距離にして約10メートル先にある物である。
原因は簡単だ、巨大な三頭身人形とマネキンの首の集合体が目の前にあった。
首の集合体はいざ知らず、人形の方もデフォルメされたデザインが逆に不気味さを醸し出している。
お陰で新世界に降り立った士郎は、自分の状況を確認することも出来なかった。
「ここ――何処だ?」
人形にはを極力見ないようにして、周囲を見回す。
立ち尽くす士郎はようやく自分が繁華街の雑踏にいることに気付く。
――――何故、気付くのに時間が掛かったのか?

それは目の前の奇怪な物体だけが原因ではなかった。
人がピクリとも動いていない。
さながら映像の一時停止をしたかの様に、周囲の人々は静止している。
「どうなってんだ………」
とにかく、目の前の不気味な置物に視線を戻す。
すると、人形がいきなり口を大きく開いた。
「あいつ、動くのかよ!?」
まぁ、こんな通りの真ん中に首玉をぶら下げた人形があっても邪魔なだけだしな。
しかし、そんな事よりも遥かに驚愕の事態が起こる。


途端に周囲の人々が激しく燃え上がった。
――――おい。
燃え上がった人々はたちまち炎の塊となる。
――――どうなってんだ。
目の前の異常事態に、ただ呆然と立ち尽くす。

それは、衛宮士郎の原初の記憶。
あの大火災を思い起こす光景だった。

―――止めろ。

人々であった炎の先端が怪物の口に吸い込まれていく。
それは掃除機のスイッチを入れて、塵を吸い込んでいる様に似ていた。
だが、今、あの口が吸っているのは塵じゃない。

―――ヤメロ。

あれはさっきまで人間だった炎だ。
これは、食事じゃないか。
食べやすい形に変えて、体内に取り込む。
これのどこが食事じゃないのだろうか。
そして俺は理解した。

こいつらは―――敵だ。

「やめろ――――ッ!」
たまらず走り出す。
走りながら、魔術回路を起動。
冗談じゃない。
これ以上、俺の目の前で人を殺されてたまるか。
そんな士郎に気付いた怪物がこちらを向く。
驚いた事に、こいつらは二体とも生き物だったらしい。

先に人形が首を傾げた。
「ん〜? なんだこいつ」
行いはともかく、声は見かけ通り子供のような声だ。
首玉が女の声でそれに続く。
「さあ? 御『徒』ではないみたいね」
「でも、封絶のなかで動いてるよ」
目の前に到達した所で停止。
殺気を込めて睨み付ける。
「『ミステス』…それも飛びきりの変わり種ということね。久しぶりの嬉しい手土産に、ご主人様もお喜びになられるわ」

戦闘体勢を整える。
それより、俺を見て何か言っていたな。
ミステス?
聞いた事もない単語だ。

だが、今は
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