第四十七話 運動会が終わってその十三
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「オーソドックスでもいいがな」
「凝ってこそなのね」
「要はリアルだ」
これが大事だというのだ。
「リアリズムを追求するんだ」
「わかったわ、それじゃあね」
「ああ、頑張るんだぞ」
「うちのクラス美術部員もいるから」
幸いにしてだ、そのリアリズムを実現出来る人材がいるというのだ。
「やってみるわね」
「そうしろよ」
「ええ、じゃあ今は」
「今現在はか」
「飲むわ」
自分でビールを自分のグラスに注ぎ込んで言う、そしてだった。
そのビールを飲んでだ、こう父に言ったのである。
「まだビールが美味しい季節だしね」
「そうしろ、けれどお父さんはな」
「もう飲まないの?」
「ビールはな」
今飲んでいるこの酒はというのだ、ビールこれで止めるというのだ。
しかしだ、すぐに氷と梅酒を出してきて言うのだった。
「これにするな」
「梅酒をロックでなのね」
「ああ、飲む」
そうするというのだ。グラスにはもう氷が入れられていてそこに梅酒が流し込まれる、それを飲むというのである。
それでだ、その梅酒を飲みながら娘に言うことは。
「ビールは好きなんだがな」
「痛風よね」
「ああ、あれは怖いからな」
父もそうした年齢だ、娘が高校に通う年頃になると誰でも肥満だの薄毛だの病気だのが気になってくるのだ。
それでだ、今は梅酒を飲みつつ言うのだ。
「この梅酒もだ」
「普通の梅酒なのね」
「柚子梅酒だ」
黒糖ではないというのだ、あくまで普通の梅酒だというのだ。
しかしだ、ここでこう言うのだった。
「糖尿にも気をつけているからな」
「何か怖いわね」
「怖いぞ、成人病は」
痛風なり糖尿病なりがだというのだ。
「だからなる前から気をつけているんだ」
「そういえばお母さんもよく私に言ってるわ」
「飲んでもいいが、というんだな」
「うん、お酒は飲んでもね」
「身体は壊すな、だな」
「よく言われてるわ」
酒は美味い、しかし飲み過ぎるとなのだ。
身体を壊す、それで母も言うのだ。
「それでお父さんもなのね」
「ああ、ビールはこれで止めてな」
梅酒を飲むのだった、とはいっても仕方ないといった感じではなく実に美味そうに飲んではいる。
そしてだ、こう娘に言うのだった。
「美味いな、梅酒も」
「そうよね、梅酒もね」
「御前も気をつけろよ、飲んでもいいがな」
「とはいってもね、私結構ね」
「ビールを飲んでるか」
「日本酒もね」
こちらは糖尿病だ、一説には藤原道長はこれで死んだらしい。大鏡での彼の最期はかなり悲惨なものだった。
それでだ、父も言うのだ。
「よくないな、日本酒も」
「やっぱりそうなのね」
「ああ、お酒自体が飲み過ぎるとよくないがな」
アルコール自体が
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