暁 〜小説投稿サイト〜
空を駆ける姫御子
第二十三話 〜なまえをよんで StrikerS Ver.【暁 Ver】
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
が、いつもの間延びした声が上から降ってきた。

「……このピンク髪のちっこい子は、六課でフルネームが一番言いづらい人ナンバーワンのキャロです」

 可愛らしい花の様だったキャロの微笑みが、アスナへ顔を向けた時には能面の様だった。アスナはフルネームが言いづらいどころか、憶えているかどうかさえ怪しい。

「アスナさん、後でお話があります」

「……なんでおこった?」

 アスナの隣にいたティアナは然も頭が痛いとばかりに、こめかみを揉みほぐす。

「あんたは、ちょっと黙ってなさい。ヴィヴィオ、ね。この娘はキャロ。キャロの隣にいる男の子がエリオ。二人共ヴィヴィオより少しだけ年上ね。そして、彼女がスバル。あたしは、ティアナって言うの。宜しくね」

 ティアナに紹介されたヴィヴィオは、はにかみながらもしっかりと頷く。

「えぇ、と。この薄らぼけっとしたのはもう知ってる?」

「うん、アスナおねーちゃん。……ちょうちょを呼んでくれた」

「そう、よかったわね」

 ティアナは優しげに微笑みながら、ヴィヴィオの頭を撫でる。ヴィヴィオは猫のように目を細めていたが、ティアナの手が頭から離れると、アスナを見上げた。

「さっきの、おねーさんは?」

「……先生は、はやてやフェイトと一緒においしいものを食べにいきました。なので、私たちもおいしいものを食べることにします。……あとで、ザッフィーも紹介する」

「ざっふぃー?」

「……六課の番犬です」

 桐生アスナの中で、ザフィーラは番犬という位置づけらしい。とんでもない番犬がいたものである。アスナは、お前の答えなど聞いてないとばかりに、ヴィヴィオの小さな手を引いて一路食堂を目指す。ティアナはそんな二人を見ながらスバルと顔を見合わせると、御互いに肩を竦めた。エリオとキャロが慌てて二人の後を追いかけるのを見届けると、ティアナとスバルも食堂へと向かう。彼女たちの表情は一様に──── 微笑んでいた。





「……アスナちゃんはフリーダムやな、相変わらず」

「でも、ヴィヴィオには丁度いいかも。今のヴィヴィオは右も左もわからなくて、不安で一杯だと思うから」

 高町なのはの脳裏に中庭での光景が蘇る。なのはが、ヴィヴィオへと話しかけた時。ヴィヴィオの小さな唇から零れ落ちた不安に満ちた言葉。

──── ママがいないの

 なのはは、唇を噛み締める。ヴィヴィオが、『作られた存在』だという事は、確定だろう。その彼女が母を求めるという事は、()()の記憶を受け継いでいる事に他ならない。自分達の都合で理不尽に彼女を生み出した何者かに対する怒りが、ふつふつと沸いてくる。





 エリオは、険しい表情を作り上げる。眠ってしまったヴィ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ