第二十三話 〜なまえをよんで StrikerS Ver.【暁 Ver】
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景に、シャッハも呆気に取られていた。ふと気がつけば、桐生アスナがいつの間にか傍にきている。アスナはふらふらと、シャッハの隣まで移動するとシャッハを見据えた。
「……おかっぱは、ホントにダメな」
シグナムが、口を抑え横を向く。
「騎士シグナム? 笑いましたよね」
「笑っていません」
誰が見ても笑ってはいたが、しれっと言い放つところが誰かさんに非常によく似ていた。なのはは、二人のやり取りに苦笑を浮かべながら、ぬいぐるみを拾い上げ少女と視線を合わせるように屈む。その兎のぬいぐるみは、昨日高町なのはが買い求め眠っている少女の枕元に置いた物だった。どうやら、気に入ってくれたらしい。
「こんにちは。わたしの名前は高町なのは。あなたの名前は? 言えるかな」
少女は、なのはからぬいぐるみを恐る恐る受け取ると、名前を──── 告げる。
「……ヴィヴィオ」
「うん、いいお名前だね。こっちのお姉ちゃんは」
「……キャサリンです」
「こら」
アスナは無表情にヴィヴィオと名乗った少女を見下ろしていた。やがて、ゆっくりとヴィヴィオへ右手を伸ばすと……おでこをぺしりと叩いた。その拍子に、ヴィヴィオの体のあちこちで羽を休めていた蝶が飛び立ってしまった。
「こらっ、アスナなにやってるの」
「……まねされた」
「真似?」
アスナの奇怪な行動に困り果てたなのはは、助けを求めるようにシグナムを見た。
「オッドアイのことを言っているのではないか?」
そう。シグナムの指摘した通り二人ともオッドアイだ。色合いは違うが、アスナは右目が翡翠。左目が紺碧。対して、ヴィヴィオは左目が燃えるような紅玉だった。
「……キャラが、かぶる。オッドアイはふたりもいりません。ツインテールが、ふたりもいらないように」
「そんなこと、気にしなくていいのっ」
高町なのはは先ほどの幻想的な光景を見ながら、改めて桐生アスナという少女のことを考えていた。稀少技能と呼ばれる物は、既存の魔法体系に属さないと言うだけで、魔力というエネルギーを源にしている点では魔法と同じなのだ。だが、桐生アスナの稀少技能は明らかに違う。
自分の意思の力だけで魔法を無効化し、昆虫と思いを通わせる。高町なのはは思った。それこそ『魔法』のような力ではないかと。
突然くしゃみが出た。誰かが噂をしているなどとよく言われるが、あたしはそんな物を信じてはいない。
「どったの、ティア。風邪?」
「違うと思うけど……」
「アスナに理不尽なことを言われてるんじゃないの? ……そろそろ頃合いだと思うんだよね」
「そう」
「うん、あとは切っ掛けだけなん
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