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空を駆ける姫御子
第二十三話 〜なまえをよんで StrikerS Ver.【暁 Ver】
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喧騒を破ったのは、唐突に浮かび上がった通信スクリーンの中で険しい表情を浮かべている『シャッハ・ヌエラ』からの緊張を孕んだ声だった。

──── 少女が病室から姿を消しました





「……なぁ、元気出してくれよ。ルールー。絶対見つかるからさ、11番のコア」

「うん、ありがとう。アギト」

 あの時まんまと逃げ果せた召喚士の少女と、赤の融合機は窓一つない無味簡素な部屋で言葉を交わしていた。融合機から『ルールー』と呼ばれた少女──── ルーテシア・アルピーノは気怠げにベッドから起き上がる。そんなルーテシアを見て融合機──── アギトは幾分ほっとした表情を浮かべた。

「ガリューの様子はどうだ?」

「うん。思いの外ダメージが大きかったけど、もう大丈夫。……強かったね、あの魔導師」

「あぁ。ガリューも本気じゃなかったとは言え……それにしても、アイツ本当に魔導師か? あれじゃまるで、狂戦士だ」

 アギトは考える。不可解なことは、まだあった。ガリューと戦った……あれが戦いと呼べるかどうかはわからないが、あの『魔導師』から殆ど魔力を感じることが出来なかったのだ。にも拘わらず、ガリューを圧倒する戦闘力。不可解以前の問題だった。

──── あり得ない。

 彼女の疑問も当然と言えた。事前に六課の魔導師に関しての情報は得ていたが、情報自体が簡単なプロフィール程度でしかなく、加えあの『魔導師』──── 桐生アスナはあの戦いで『完全魔法無効化能力(Cancel Magic)』さえ使ってはいない。桐生アスナから殆ど魔力を感じられないのも、その能力が影響していることを彼女は知らないのだから。だが、些細な問題だ。相手が誰であろうと、自分を救ってくれた心優しい少女の為に。彼女は──── アギトは戦うだけなのだから。





 高町なのはらが聖王医療院へ到着すると、待ちかねた様にシャッハが出迎えた。

「申し訳ありませんっ」

 そう言って頭を下げる彼女の顔は蒼白で、自分の失態を責めているようにも見えた。こういった場合は第三者は却って冷静になるもので高町なのはも又、例外ではなかった。なのははシャッハの明るい紫色した頭頂にある旋毛を見ながら話しかける。

「いえ……状況はどうなってますか?」

「はい。特別病棟と、その周辺の封鎖は済んでいます。何者かが侵入した形跡も今のところありません」

 桐生アスナは、シャッハの言葉を聞いて僅かに目を細める。そんなアスナの様子を高町なのは横目で見ていたが、敢えて見なかったようにシャッハへと答える。

「外へは出ていないはずですよね……手分けして探しましょう。シグナムさんは、シスターシャッハとお願いできますか?」

「わかった。では、行きましょう」


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